手がかり
めっちゃお久しぶりです! 半分スランプと、大学祭用の作品や研究室関連のごたつきで、かけてませんでした!
「失礼いたします。 お食事の用意ができましたのでお運びさせていただきました」
「アカリ殿。 お食事の支度ができた様なので、刃物は一旦……」
「あ、あぁ! すみませぬ、見惚れてしまい……お返しいたしますぞ」
アカリは雪月花を鞘にしまい、丁寧な手つきで俺に返してくる。俺が雪月花を受け取ると、まるで見計らったかの様に数人の給仕の女性たちが扉を開け、料理を素早く丁寧に机に並べていく。
「失礼いたしました。 心ゆくまでお楽しみください」
並べ終わると、給仕の女性たちは丁寧にお辞儀した後に部屋から退出した。それを確認してから、アカリはパンッと手を叩いてから話し始める。
「で、ではいただきましょうか。 本来であればヒモト島国名産の酒をご賞味いただきたかったのですが、まだ日が登ったばかりということで、別の名産であるこの茶の方を味わっていただければと」
そう言いながら急須と言った変わった形をした陶器から小さくコポコポと音をさせながら注ぐ。注がれたお茶は俺の知っているものとは違い、新緑色をしていた。
「これは初めて見ました。 なんというなの茶ですか?」
「これは我が国では緑茶と呼ばれる茶でございます。 紅茶も良いですが、やはり私は慣れ親しんだものが一番におもえます」
「その気持ち、ちょっとわかります」
「ご共感いただき、嬉しく思いますぞ」
俺は手渡された緑茶を一口飲む。人肌よりちょっと熱めの茶は、今まで飲んだことのない味だった。
「これは、苦味ですか……だけど、ほのかに甘味もあって……」
「口に合わぬ様でしたら、紅茶の方も用意させますが……」
「あ、いえ、美味しいです。 ただ初めて飲むのでちょっと慣れてなくて」
「左様でございましたか。 ささ、ぜひ料理の方も召し上がってくだされ! 此の緑茶、単体で飲んでも良いものですが、食事と合わせるとまた違った味わいがございますぞ」
「そうですか、では失礼して」
進められるままに、俺とリリーは食事を始める。テーブルの上には、見た目も華やかな品々があり、どれから食べるか悩んでしまう。
それからしばらくの間、俺たちは食事に勤しんだ。
「さて、それでアカリ殿の聞きたい事とは?」
それなりに食事を進めて、俺たちは本題に入る。隣でリリーが思い出した様な表情を一瞬浮かべて、すぐに表情を正す。
アカリも思い出した様な表情を浮かべて、口に含んでいた食事を飲み込んでから話し出した。
「死の音楽隊、聞いたことはございませぬか?」
「聞いたことないですね」
「では軽く概要だけ。 とは言っても我々もあまり詳しいことは存じては無いのですが……なんでもある音楽隊を招いた上流階級の者が不審な死を遂げているらしいのです」
どうやら、この話は当たりみたいだ。




