食事の席
更新遅くなってすみません!
アカリに案内されること十分ほどで、アカリがオススメする店へとついた。
「ここは?」
「まぁまぁ、入ってみれば分かりますぞ」
そう言われながら背中を押され、俺は店の中に入った。
「ここはヒモト島国の料理を出すお店か?!」
「左様でござる! ここはヒモト島国の名店で修行し、正式に暖簾分けを許された店主が営む料亭でござる!」
そういうとアカリは近くにいる給仕の女性に話しかける。給仕の人は慣れた様子で厨房に向かっていく。数分も経たぬうちに荘厳な面持ちをした男性がやってきた。
「よくぞお越しくださいましたアカリ様。 我ら一同お待ちしておりました。私は店主を務めてます、クロトと申します」
「うむ、お主の腕は本島の方でもよく耳にしたものよ。 今回は大いに期待しておるぞ」
「粉骨砕身、がんばらせていただく所存です。 して、そちらの方が……」
「あぁ、かの有名な御仁、ミラト殿だ。粗相のない様にな」
そうアカリが言いながら俺を前に押し出す。俺は店主のクロトの前でお辞儀する。
「はじめまして、ミラトです。 本日はお世話になります」
「こちらこそ、かの有名な鏡魔術師様をおもてなしできること、生涯の誇りでございます」
「そんな、頭を上げてください! 本場のヒモト島国の料理、とても楽しみにしています」
「ありがたいお言葉です。 立ち話もなんですし、ぜひ客間の方へ」
そうクロトはいい、最初の女性の給仕に案内をする様に促す。
「では皆様はこちらに。 お手数ですが、当店舗ではヒモト島国式の規則を用いております。 そちらでお履物をお脱ぎください」
俺たちは言われた通りに靴を脱ぐ。給仕の女性は慣れた手つきで靴を並べてしまうと、淑やかな所作で立ち上がり、店内を歩いていく。
「こちらになります。 お食事は後ほどお運びしますので、少々お待ちください。 それでは、失礼いたします」
そういって給仕の女性は離れていく。案内された部屋は、部屋の中央に木材で形成されたテーブルがあり、その周りを囲う様に座布団が数枚置かれている。
卓上には美しい水瓶と、人数分のグラスが置いてあった。
「では、言われた通りお待ちしましょうぞ」
「そうですね」
俺とリリーはアカリに促され、上手の方に腰掛ける。テーブルを挟む様にアカリが腰掛けた。
「さて、本題に……といいたいところではござるが、まずは雑談でお互いの親睦を深めませぬか?」
アカリは席に着くとそう言った。だがそれはきっと建前で、
「要するに会食での約束事でしょう?」
「ばれていましたか」
そう言いながら頭をかくアカリ。俺は鏡の世界から雪月花を取り出し、テーブルの上に置く。アカリは騒がしい様子とは裏腹に、丁寧な手つきで雪月花に触れ、鞘から刀身を抜き出す。
「おぉ……これが神器……言葉にし難き美しさとはまさにこのこと……」
雪月花を持ち上げては光に当てたり、鞘にしまっては抜いてをくり返す。
「あぁ、まさに名刀……。 この目で見れ、この手で触れることができて、幸せでございますぞ」
「そ、そう……ならよかった」
そうしてアカリは食事ができるまでそうしていた。
展開がなかなか進まないので、少々無理やり感がありますが、話を進めたいと思います。