早めの再会
更新です。
「さて、どちらから調べようか」
「そうですね……」
ギルドの酒場に移動した俺とリリーはうーんと頭を悩ます。この二人が今どこにいるのかすら、俺たちはわからないので調べに調べることができないのだ。
「本人に聞けないうえに、その周りのことなんてもっと分からないよなぁ」
「ですね……」
「ん? まてよ?」
俺は先ほどのアストラとの会話を思い出す。
「リリー、上から三番目と五番目、六番目の人たちはサンクチュアリの合奏団の人たちって言っていたよね?」
「それはそうですが、それとこれは一体なんの関係が」
「サンクチュアリの合奏団なら、今も滞在しているはずだよね?」
「それは、そうだと思いますが……」
「一旦この人たちに二人の印象を聞いてみない?」
何度も出場している二人なのだ、きっと何かしらの印象などを持っているだろう。
「わかりました。 行ってみましょう」
「こうしちゃいられないな」
俺たちはギルドを後にして、サンクチュアリの合奏団の練習会場に向かって歩き出す。場所は先ほどアストラに聞いていたので、よほど変なことがなければ迷うことはないだろう。
「むむっ! そのお姿は、もしやミラト殿ではござらんか?!」
よほどのこと、起きちゃった……。遠くから手をブンブンと振りながらこっちに走ってきたのは、昨日の会食で会った鳳アカリだ。
「奇遇でございますな!」
「え、えぇ……そうです……ね」
「昨日はあまり長い間、お話できず物足りなく感じていた故、ここで会えたも何かの縁! よろしければ共に食事など如何ですかな?!」
ズイッと距離を詰めてくるアカリ。思わずその場で一歩、後退りしてしまう。
「ぜひ博識であらせるミラト殿にお聞きしたいことがあってですな。 なんと申したか……確か、死の音楽隊という……」
そう言いながらうーんと考える素振りをするアカリ。俺はリリーと顔を見合わせてから頷いて、アカリに声をかける。
「その話、詳しく聞いても?」
「えぇ! かまいませぬ!」
誰がみても喜びに溢れている表情で返事をするアカリ。なんか、こういうところを見ると憎めないんだよな。
「では拙者のおすすめの食事処へ案内いたします故!」
そう言って早足で歩き出すアカリ。
「リリー、これって偶然だと思う?」
「何か、関係がありそうだと思います」
「そうだよね……とりあえず話を聞くだけ聞いてみようか」
「はい、そうですね」
「こちらになります!」
「すぐいきます」
俺たちはすでに遠くに見えるアカリの方に小走りで向かっていく。