表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

271/274

心当たり

更新遅くなりました。すみません

 俺は移り鏡でリリーと一緒に転移する。転移したリリーは、自分の視線の先にある建物を見て納得した様だ。


「心当たりというのは、ここですか」

「この街では何でも屋の側面が強いらしいからね、何かしら情報があってもおかしく無いと思うんだ」


 俺とリリーの視界の先には、陽の光をキラキラと反射させながら佇む大きな洋館、冒険者ギルドサンクチュアリ支部があった。俺は躊躇いもなく扉を開けて中に入る。中には数人程度の冒険者がおり、扉の開く音でこちらを見るが、すぐに視線を外す。


「うーん、珍しい」

「何がですか?」

「いや、こっちの話」

「はぁ……?」


 リリーは訳が分からなかった様で、首を(かし)げる。ギルドにリリーを連れて行って冒険者に絡まれないのが、珍しいなんて本人には口が裂けても言えないもんな。というか、本来はそれが正常なんだけど。

 俺はコホンッと一つ咳をした後、受付に向かって歩いて行く。受付の人も、昨日の今日で把握してくれた様で、特に話しかけることなく奥の通路への道を開けてくれる。


 昨日と同じ様に階段を登っていき、昨日も目にした扉の前で立ち止まる。俺は扉を軽くノックする。


「どうぞ」


 ガチャリと扉が開く音がする。俺はその扉を開き、中に入った。リリーも俺に続いて室内へと入っていき、ちょうど扉の方に視線を向けたアストラと目があう。


「ミラトさんと……こうして顔を合わせるのは初めてですね、リリーさん」

「は、初めましてアストラさん」

「えぇ、初めまして。 それで、今日はどの様な様で?」

「ギルドの資料室にさ、過去のサンクチュアリで開催された音楽国際交流の参加者の名簿とかってない?」

「あるにはありますが……何に使用なさるのですか?」

「リリーの考えなんだけどね」


 俺はアストラに先ほどリリーと相談した内容を伝える。相槌(あいづち)を打ちながら聞いてたアストラだが、最後まで話を聞き終えると納得した様だ。


「なるほど、言われてみればリリーさんのいうことは一理ありますね」

「でしょ?」

「ではお探しの物を、職員にこの部屋に置きにくる様に伝えます。 少々、座ってお待ちください」


 そう言いながら、何やら紙に文字を書き出すアストラ。書き終えたかと思った矢先、その紙を机の上に置いてある木彫りの鳥の様な物の口に入れる。


「これで職員の方に通達が行きましたので」

「えと、それはなんですか?」

「これはですね、伝報鳥(でんぽうちょう)という魔法道具(マジックアイテム)でして、専用の紙に書いた文字を、連携させている伝報鳥に転送する効果を持っています。 私はこの部屋から出ることが少ないので、この様な方法で職員とやり取りを行なっています」


 そう言って、俺たちとは机を挟んだ反対側に腰掛けるアストラ。慣れた手つきで、机の上に置かれた小さなベルをチリンッと鳴らす。ベルが小さな音を鳴らしたかと思うと、直ぐに一人の職員が室内に入ってくる。アストラはその職員に、いつもの。 と伝えると、職員は頷き、部屋を出ていった。

 部屋を出た職員は、数分ほどでお盆に三つの紅茶の入ったティーカップを載せながら戻ってくる。


「先に一息つきましょ?」


 アストラは慣れた手つきで自分の前に置かれた紅茶に砂糖を入れて、そのまま飲み始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ