対面
ついにメシアさんとの約束が果たせます。
王都【ネイシスの街】は一言でいえばまさに【美しい】だと思う。
家や建物はシミ一つない白き壁、床は丁寧に敷き詰められた石レンガ。そして何より中央に悠然とたたずむ王城だろう。まるで雲を突き抜けるようにそびえたっている様はまさに壮観といったところだろう。
「とりあえず、アポはないけど向かうしかないよな……」
「? ミラト様? どうなさいましたか?」
「ん? あぁ、何でもないよ。それより今から王城に向かうからね。はぐれないでね」
「私はそんな子供じゃありませんから!」
と、つい口に出ていたつぶやきをごまかしながら俺たちは町の中央、王城をめがけて歩き出した。
~王城南門前~
「待て! 貴様何者だ! ここから先が王城だと知っての愚行か!」
と、門番に止められた。まぁ、彼もそれが仕事だしね。
「あなたこそ失礼ですよ! この方はか、もごもご!」
「はいはい、リリーは少し静かにね」
「はい……」
「……何をしている?」
あ、呆れられた! まぁ、無理もないか。
俺は空いている方の手でリリーシャの頭を撫でながら彼に話しかけた。
「実は俺こういうものなんだ。このことについて国王と話がしたくてね。通してはもらえないだろうか?」
と、言いながらギルドカードを手渡した。受け取った門番は不思議そうに受け取った。そしてギルドカードを見ると顔を青くして、
「う、上の者に聞いてくるので、こ、ここから動かないように! いや、動かないでもらえますか?!」
と、狼狽しながらも対応しくれたので俺はもちろん了承した。
そして数分後、息を切らしながら先ほどの門番と上質な鎧を着た男がやってきた。
「はぁ、はぁ、お待たせしてしまい、も、申しわけございません。私は、騎士団守護隊【龍の鱗】総隊長のガルムス=フォン=ケイデスと申します。急ぎ、応接間へとお越しください。それと、ギルドカードをお返しさせてもらいます」
と、俺のギルドカードを手渡してくれた。とても誠実でよい人だと初対面だが俺はそう感じた。
「あぁ、ありがとう。せかしたようで済まない」
「いえいえ! そんなことはおっしゃらずに。ここから応接間までは儂……ではなく私が案内させていただきます。道中貴族の方とすれ違う可能性がありますのでご注意ください」
「あぁ、丁寧にありがとう」
「いえ、では参ります。後そこの新人、よく儂に伝えてくれた。感謝する」
と、去り際に部下を気遣っており、言われた新人は感極まっていた。それを見て俺は人望もあるんだなぁと思いながらついていった。
応接間に向かうまでの道中では、俺に話しかけてくれる人、ガルムスのすごさを語る人などいた。反対に俺を蔑む人やリリーを無理矢理奪おうとする輩もいた。そのたびにガルムスが対応してくれたがあとで彼に聞くと俺たちに対して不遜な態度をした貴族は後で国王に報告するらしい。まぁ、俺がどうこうする必要もないけどね。
でも、友好的に接してくれた貴族の方たちとは今後も仲良くしたいので後で名前を教えてもらおう。
そして俺は応接間についた。かなり重厚な扉をしている。
「失礼いたします! 王よ、偉大なる客人をお連れしました!」
「客人? まぁいい。 通してくれ」
「承知しました」
そして扉が開かれると玉座まで続く赤いカーペット、そのカーペットの横にはたくさんの貴族が並んでいた。どれも大臣などの重要な役割を担っているようで、俺を怪しむ者はいれど蔑む者はいなかった。
そして玉座には若々しい王がいた。これでも三十路は過ぎているらしい。
そしてその王を守るように近衛兵が数名いた。
何か話し合いでもしていたらしく皆、資料を持っている。
俺とリリーはそのカーペットを歩いていくと王より三十メートルほど離れたところで立ち止まった。
「このような状態で申し訳ない。 私はネイシスの当代の国王、レイソティール=フォン=ネイシスだ。して、そなたは?」
「初めまして、ネイシスの王よ。 実は今日、お渡ししたいものがあり、ここにお邪魔させてもらった」
と、俺は立ったまま話した。
メシアさん曰く跪くのはその国に尽くす意味が出てくるのでしてはいけないんだとか。
案の定、周りの大臣たちはざわつき始めた。だが何と言っているかはわからない。なぜかって?それはもちろんイーリスの国王にすらあったことない俺が大国のネイシスの国王に向かってこんな口調で話しているからだよ!リリーは……あ、なんか倒れそう。 ごめん、もう少し待って!
いつまでたっても跪く様子のない俺を見て、近衛兵が槍を突き出いながら近づいてきた。
「貴様! いつまでそうしているつもりだ! 王に対して無礼だぞ!」
「や、俺跪くわけにはいかなくて……」
「なんだと! 貴様ぁ!」
と、近衛兵が剣を抜こうとしたとき、国王の隣から静止がかかった。
「おやめなさい!」
「……っ、仰せのままに……」
と、近衛兵は俺をすごい顔でにらみながら下がっていった。
「そこのあなたも名乗りなさい。王にのみ名乗らせるという愚行、到底見過ごすことはできませんよ」
と、言い放った。
確かに俺は名乗ってなかったな。
「申し訳ない。俺の名前はミラト。ミラト=スぺクルムだ。以後お見知りおきを」
スぺクルム。その名が響いたことにより応接間は別の意味でざわつき始めた。
口を押えられてる表現難しい......何かコツとかあればコメントを是非!