作戦会議
今回の話、めっちゃ会話です
「まず私の見解だが、今回起こり得る事件は間違いなく計画的に行われるものだ」
「そう言い切れる根拠は?」
「根拠……と言い切るには少しばかり弱いかもしれないが、考えてみろ? 突発的に大量虐殺を行える力を持つ人間が世の中にどれだけいると思う?」
シンラにそう言われて考える。 確かにそれもそうかもしれない。そう思っているとガネスが質問を繰り出す。
「ですが殿下。 街中で魔法を無作為に放てば、二次被害も含めればある程度の人が大量虐殺は理論上可能になりますが」
「それもそうかもしれない。 だがそこでもう一つの理由としてアストラ殿の占星術だ」
「占星術がどうかしたんすか?」
「そもそも、占星術について皆はどの程度知っている?」
「えと、確か星の動きから未来を予測する……だっけ?」
「まぁ……そうだが大雑把すぎる。 正確には星々の動きと性質を観察対象と照らし合わせることで、このままだと起こり得る未来を限りなく予知に近い予測を行うことを指す」
「それでも、さっきガネスが言ったことと同じことが起きるんじゃないの?」
「普段ならそうだろう。 だが考えてもみろ? 音楽国際交流期間中に起きるんだぞ?」
「つまり……どういうことっすか?」
「各国の要人が揃い踏みする世界規模の大イベントだ。 相応の護衛と衛兵がいるにきまっているだろう」
「た、確かに……殿下のおっしゃる通りですね」
「それに市民にとっては数少ない祭でもあるのだ。 祭りの中でそのような暴動が起きることは考えにくい」
シンラはそう言い切ると、紅茶を口につける。確かに根拠と言い切るには弱いかもしれないが、現状の情報ではシンラの言うことが一番ありえる。
「それで、仮にシンラの言うとおり計画的な物だとして俺たちはどうすればいいんだ?」
「無難に聞き込みとかじゃないっすか?」
「そうだな。 何より今は圧倒的に情報が少なすぎる。 だからまずは聞き込みと」
「と?」
「過去の音楽国際交流中にどのような事件があったかもしらべたほうがいいだろうな」
「では、それは私が」
「あぁ、たのんだぞガネス」
「あ、じゃあさ」
「なんだミラト?」
「今回の音祭りとか音楽国際交流の参加者の周りで事件事故が起きてないかどうかも調べてみない?」
「……なるほど、そう言うことか」
「ど、どう言うこと?」
「つまりミラトが言いたいことは、参加者の中に今回の首謀者や協力者がいる可能性があるってことだ」
「そういうこと。 参加者、特に出演するとなれば簡単に内部まで入り込めるしね」
「問題は誰がそれを調べるかだが……」
「俺がやるよ。 言い出しっぺだしね」
「そうか、正直頼めるなら頼みたい」
「まかせてよ。 それにシンラには別のことを頼みたいし」
「別のこと?」
「うん、各国の要人の相手」
それを聞いたシンラは一瞬目をポカンとさせた後、苦笑いする。
「最初からそれが狙いだったな……?」
「いやぁ、どうにも俺には向いてないんだよね」
「はぁ……確かに私が適任だし、引き受けよう」
「やったね」
「それでは確認だ。 私は要人との駆け引き」
「俺は参加者の周辺の洗い出し」
「私は過去の音楽国際交流での事件について調べます」
「じゃあ、おいらとシオル君は聞き込みするっす!」
「ギ、ギルドの方でも聞いてみるね」
「一旦こんな感じだな。 後は女性陣との意見のすり合わせだが、もう夜も遅いし、日が登ってからするとしよう」
シンラがそういうと、みんなで頷いた。