表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

267/274

雑談

お久しぶりの更新になります

 アカリとの会話が終わると、俺の元にも何人かが押し寄せてきた。代表としてきている人達だからか、暗に自分らの国を贔屓するようにとか、自身の国とも友好を結ぶように言ってくる人らはおらず、本当にただ挨拶をしにきた人たちだった。


「では、私はこれで」

「えぇ、ありがとうございました」

「こちらこそ、鏡魔術師様とお話しできて光栄でした」


 そう言って、もう何人目かわからないが挨拶をしにきた人との話を終わる。時間にしてはトータルで一時間も経っていないのだろうが、慣れない貴族との会話は、俺の体力をゴリゴリと削っていき、今にも倒れそうだ。


「つ、疲れる……」

「お疲れ様です、ミラト様」


 グッタリとしている俺の横に、いつの間にかリリーが立っていた。その右手には数種類の料理が、シンプルな銀食器に丁寧に取り分けられている。そのお皿に乗っている、一口サイズのパイをリリーは左手で持ち上げると、俺の方に差し出してきた。


「どうぞ、ミラト様」

「ありがとう、リリー」


 俺は遠慮することなくリリーの手から一口サイズのパイを食べる。フルーツを使ったパイみたいで、甘酸っぱい果物が体に染み渡る。

 他にもリリーはいくつか皿に乗せて持ってきた料理を食べさせてきた。


「全く、人目というものは気にしないのか」


 挨拶回りを終えたであろうシンラがこちらに向かって歩いてくる。シンラに言われて周りを見ると、遠巻きに何人かがチラチラとこちらをみていた。どうやら目立ってしまっていたみたいだ。


「まぁ、仲睦まじいことは良いことだがな。 今はまだ婚約者だがいづれ夫婦になるのだろ?」

「まぁ、そのつもり」

「式には呼んでくれよ」

「それはもちろん。 というかさ」

「なんだ?」

「シンラって婚約者とかはいないの?」

「ん? いるぞ」


 サラッと、お前は何を言っているんだ?と言った様子で、燻製肉を頬張りながらシンラが答える。


「え?!」

「私は仮にも第一王子だぞ? 婚約者はいるに決まっている」

「えと、その人って……どんな人?」

「私の婚約者はネイシスの友好国のうちの一つの第三王女だ。 お互い忙しくてあまり会えていないが、もう少ししたら交換留学でネイシスに来るはずだ」

「へぇー。 ん? 交換ってことは、ネイシスからは誰か行くんだよね?」

「あぁ。 我が国からは第二王女のカラナ姉さんが行くことになっている」

「え、シンラお姉さんいたの?!」

「あぁ。 カラナ姉さんは私の三歳年上の姉だ。 カラナ姉さんは、私と違って内政の才があるようで、今はネイシスの街の一つを領主として収めている」

「へー」

「ま、機会があれば会えるだろう」

「俺としてはシンラの婚約者の方が気になるけどね」

「そのうちな」


 そうしてシンラと雑談を続けていると、いつの間にかお開きの時間になっていた。

 俺たちはそれぞれ、用意された部屋に戻っていき、部屋につくや否や、ソファや椅子に座り、くつろいでいる。


「ふぅ……もう食べれないっす……」

「お、おいしかったね」

「レオ、すごい勢いで食べてたね」

「へへっ、美味しくてつい」

「さて、本日の予定が終わったからな、明日からについて軽く話しておこう」


 会話が途切れるのを待っていたのか、シンラが切り出す。


「では、飲み物をお入れしますね」

「すまない、頼む」

「皆もいるか?」

「あ、お願い」

「お願いするっす!」

「あ、ありがとうガネス君」

「なぁに、気にするな」


 そう言って慣れた手つきで紅茶を注ぐガネス。数分ほど経つと、心地いい香りを漂わせる紅茶が全員の前に置かれる。

 シンラはその紅茶を一口のむ。カチャンと食器が触れ合う小さな音が鳴った後、シンラが口を開いた。


「さて、明日からどうするか、何か意見のあるものはいるか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ