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教会に戻って

新キャラが出ます。そのキャラとの絡みのせいで、本来書きたいところが次に持ち越しになりました……

 アストラと別れて教会に小走りで向かう。教会に着いたのは、日がほぼ落ちていた頃だった。

 教会の入り口で、アレスさんと偶々鉢合わせした。アレスさんも俺に気付いたようで、こちらに向き直り、声をかけてくる。


「おや、おかえりですか? ミラト様」

「はい、ちょっと用事があって出掛けてました」

「左様でしたか。 私より優れているミラト様にお伝えするのも些かおかしいことではありますが、夜道は大変危険ですのでお気をつけください」

「お心遣い、ありがとうございます」

「はい。 では私はもう少々したら定例会議がありますので、失礼させて頂きます」


 そう言って軽くお辞儀をした後、アレスは迷う素振りなく教会の奥に歩いて行った。この後ろ姿を見ると、目が見えないとは思えないな。


「アレス君って本当に目が見えてないとは思えないぐらい迷いなく動いてて、凄いよねぇ!」


 俺がそんなことを考えていると、後ろから急に声をかけられた。というか、気配に気づかなかった?!

 俺が後ろを振り返ると、そこには一人の女性がいた。


「あなたは……?」

「あ、急に声かけてごめんねぇ。 私、ファブリズって言うんだ! アレス君とは同僚の【無嗅(むきゅう)】だよ!」


 そう言う女性の格好はほとんどがアレスさんと同じで、白を基調とした礼服に、左の肩にマントをがついている。しかしもちろん違うところはあった。背丈は160ほどで、リリーより少し低いぐらいだ。サラサラと風に(なび)く水色の長髪と、顔の上全体を覆い隠すような、不可思議なマスクをつけている。黒いそのマスクはカラスをくちばしを連想させた。

 ファブリズと名乗った彼女は自身のマスクを指差しながら話を続ける。


「あ、やっぱりこのマスク気になる? これね、お師匠からもらったペストマスクって言うらしいんだ! 私も実はよくわかってない!」


 そう言いながらフフフと笑う。明るい様子の彼女だが、なんだか見た目との差がすごいな。


「そうなんですね」

「そうなの! 他に気になることある? お姉さんが答えてあげよう」


 右手の指を唇に当てながら、小首をかしげるファブリズ。そこで俺はさっき気になったことを聞いてみる。


「なぜ、気配がしなかったんですか?」


 それを聞くと、少しだけ驚いたような様子をしてから、先ほどよりも怪しく、(あで)やかに首を傾げながら答えてくれた。


「あんまり、乙女の秘密を探るものじゃないよぉ? 秘密の一つや二つあるもなのよ、乙女にはね」

「そ、そうですか……」

「じゃあ、私は定例会議があるからこの辺でお暇するねぇ」


 そう言いながら、ファブリズはアレスの後を追うように教会の後に入っていった。ファブリズの通った後には花畑のような香りが漂っていた。


「っと、こんなことしている場合じゃない」


 俺は軽く頭を振ると、シンラたちがいる部屋に戻っていった。俺がドアを開けると、運よくみんな部屋におり、思い思いの方法でくつろいでいるところだった。


「おかえりっす! ミラト」

「ただいま」

「用事は終わったのか?」

「うん、終わったよ。 それと、みんなと相談したいことがあるんだけど」

「? よくわからないが、じゃあ皆を呼ぶか」

「うん、お願い」


 シンラがドアの近くに埋め込まれている青色の魔石に魔力を流す。すると数分ほどで一名のシスターが現れた。


「何かありましたか?」

「すまないが、別部屋の私たちのクラスメートを呼んできていただきたい」

「わかりました、少々お待ちください」


 そう言ってシスターは扉を閉めて、コツコツと歩いて行ったのが、遠ざかっていく足音で察することができた。俺はその間に大型の鏡を生成し、さらにいつでも遮音の結界が展開できるように用意をする。


「何かあったのか?」

「うん。 まぁみんなが来たら話すよ」

「そうか」


 それだけ聞くと、シンラは何も言わずに目を瞑って待機してくれた。そして数分もすれば皆が部屋に入ってきた。


「お待たせしました!」

「こっちこそ、呼びつけてごめんね」

「特に何かをしていたわけじゃないから大丈夫よ」

「ありがとう。 それじゃあみんな集まったし……」


 俺は遮音の結界を展開してから、大型の鏡に魔力を流す。数回ほど鏡面が淡く光を放ち、光が落ち着くと、そこにはサンクチュアリのギルドマスターのアストラの姿があった。


「問題ない? アストラさん」

「えぇ、大丈夫なようです」

「じゃあ話を始める前にみんなに紹介するね。 彼女はサンクチュアリのギルドマスターを務めている、アストラさんだ」

「みなさん初めまして、私はアストラ=フールと申します」


 そう言って、鏡ごしに軽く会釈を行うアストラ。その後、みんなはそれぞれ一人づつ自分の名前を名乗った。


「それで、早速本題に入っていいかしら?」

「うん、お願い」

「わかったわ。 みなさん、驚かないでちょうだいね」


 そう前置きした後に、一呼吸した後にアストラは簡潔に要件を伝える。


「このままだと、国際音楽交流中に多数の死傷者が出るという予言結果が出たの」

人物紹介

【無嗅】のファブリズ

五感司教のうちの一人。元の名前はアレスと同様に襲名時に捨て去っており、無嗅の通り嗅覚を失っている。

160程の背丈でバストはDほど。水色の長髪とペストマスクが特徴的。マスクの下の瞳は翡翠色をしており、素顔は教会の中でも十本の指に入る美人と言われている。

明るい性格と、多種多様な香りを漂わせているのが特徴。

【無嗅】の通り、嗅覚を失っているが、継承魔法トランジィションマジック、【無嗅】により、ニオイに触れることができる特異体質となっており、その匂いを食べることで匂いを味として捉えることができる。そのため、彼女に香りのことを聞くと「甘い」や「苦い」といった常人には分かりかねる返答が返ってくる。

教会から腐臭するべからず。を理念に動いており、教会の重要人物を腐らす要因は必ず排除する。

(名前は皆さんご存知ファブリ◯ズからです笑)

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