王都ネイシス
すこしほのぼの要素を入れてみました。
突然のランクSの襲来にはとても驚かされたが何とか勝利できた俺たちは素材の剥ぎ取りを行っていた。
ランクAのエルダートレントの木材や魔石は常に品薄、乱風蝉に至っては羽一枚ですらオークションの目玉になるほど希少度が高い。これもネイシスの王様に相談するかな。
「さてと、剥ぎ取りもそろそろ終わるし、帰ろうか」
「はい。わかりました」
俺たちはその場で【移り鏡】を開き、【ダツミの街】に戻った。
なぜ町に戻ったかというと、ダンジョンのレベルが違ったように時代が流れたことによっていろいろと変化があったのだろう。もし、記憶を頼りに飛んでいった場合、そこが今どうなっているかわからないからだ。観光もしたいしね。俺はリリーたちと出会った時の街道まで歩いた。
「そういえばあの時のリリーの疑惑の目はちょっと傷ついたなぁ~」
「そ、それは!ミラト様が鏡魔術師だとは知らなくて……」
「……今、五秒で転移するって言ったら?」
「もう体感しているので信じるしかないですよ!」
と、のほほーんとした会話をしながら歩いて行った。
夜になった。鏡の部屋に戻ってもいいのだがせっかくなので、野営をすることにした。これでも俺は元階級Sの冒険者だったので、それなりに野営の心得はある。
「さてと、こんなもんでいいかな」
と、【鏡の世界】の中にあった調理器具と食材を使って簡単な野営料理をしている。
母さんが病気だったこともあって料理は俺が良くしていた。今では趣味の一つになっている。
そしてもう一つ分かったことがあるのだが……
「あ、あぁ! また焦げてる……」
リリーが料理が下手なことだ。簡単なお肉を焼かせてもこれである。一枚、二枚ならまだいいのだが今ので二桁を超えた。リリーの周りには焦げ臭いにおいが立ち込めている。
「はぁ、もういいよリリー。後は俺がするから」
と、リリーと変わると、
「うぅ……すいません……」
と、しょぼんとしていた。尻尾も耳も力なくうなだれている。こういうところ、かわいいと思う。
「まぁまぁ、誰だって苦手なことはあるから気にしないでいいよ」
と、言いながらお肉を焼いている。リリーはお肉が焼け、食事の用意ができるまでしょぼんとしていた。
「はぁぁぁああ!! すごいです!」
と、目の前に並んだ俺の料理に驚いている。
「野営料理だから簡単な料理しかないけどね」
と、俺は苦笑いをした。
「とりあえず食べようか」
「はい!」
そして俺たちは二人で仲良く食事をした。
そして食後の休憩中、俺はほかの武器などを持ってみた。後ろでリリーが俺を見ている。落ち着いているよう見せたいのだろうが尻尾がブンブン揺れていて全然落ち着いてるようには見えないけど……
それから数時間、辺りでは空を切る音が響いていた。
ある程度武器を持って分かったことはメシアさんマジバケモンだってことだ。
経験なども引き継げるためあらかた使えるだろうと予想はしていたが、実際はかなり使えてた。少なくとも階級Aよりは扱いなれている感じだった。
「まじメシアさんナニモンなのよ……」
と、つぶやいてしまうほどに。
その中でも特に俺が扱いやすいと感じたのは、
「えっと、刀、大鎌、レイピア、ブーメラン、弓、だな」
我ながら癖の強い武器が多いとは思うがそれはどうしようもない。
とりあえずその日は周りに魔よけの魔道具を使ってリリーと寝た。
その後は特にこれといった事は無く、歩いて、野営をして、扱いやすいと感じた武器を中心に鍛錬して、といった日々が十日ほど続いて俺たちはついに、【王都・ネイシスの街】についた。
リリーシャの料理が下手だったり武器に関しては純粋に作者の趣味です(笑)
「こんな武器を出してください!」といった案はコメントかTwitterのDMまで。
なろう垢→@naroukyouka