アストラ
更新です。戦闘シーンまでもう少々かかりますがお待ちください
「初めまして、鏡魔術師のミラト様。 噂はかねがねお聞きしております。 私は当ギルドのギルドマスターを務めています、アストラ=フールと申します」
「初めまして。 此度は軽い挨拶をと思い立ち寄らせていただいた次第です」
俺は目の前にいる不思議なオーラを纏う女性、アストラに手を差し出す。アストラは白い手袋を懐から取り出し、手に嵌めてから俺の手を取った。
「このような形ですみません。 接触に抵抗がございまして……」
「いえ、構いません。それよりもその服装って……」
俺は手袋より気になったことについて聞いてみる。アストラの服装は先程教会で何度も見た修道女と同じものだった。
「私は元々教会にてシスターをしていまして、とある方の付き人をしていたのですよ。 ただ体の不調が続きまして、教会勤めを辞めさせていただきました。 ちょうどそのタイミングで当ギルドのマスターが引退なされたのでよかったらどうか? とお話を頂きまして」
「なるほど。 そのベールも何かご意味が?」
「ただ単純に顔を隠すためです。 形式上引退という形で教会から去りましたので、特定の人物以外、ギルドマスターが私だとはご存知ないですし、あまり知られたくないので」
「そうなんですね、これは踏み入ったことをお聞きして申し訳ない」
「いえ、お気になさらず」
その後、俺は周辺の状況や、難易度の高い依頼がないか聞いてみた。だが、教会の周りにはあまり危機となる魔物はいないらしい。主に理由は二つあり、一つ目の理由は教会の人たちが修行と称して魔物狩りを定期的に行っているらしい。それともう一つの理由が、
「神器の効果、ですか?」
「はい。 教会の最奥部にあるとされている、この国の名前にもなっている神器、サンクチュアリの効果です」
アストラが言うには、サンクチュアリの持つ効果の一つに、魔物払いの効果をもつ結界を展開することができるらしい。それにより、あまり周りに魔物が寄り付かないそうだ。
「だから冒険者もまばらだったんですね」
「そうですね。 この国では何でも屋に近いです」
「わかりました。 ありがとうございます」
「では最後にステアさんからの依頼だけ行ってもよろしいですか?」
「依頼、ですか?」
「えぇ、お渡しくださった紹介状の最後に」
「ちなみに何を?」
「占いごとを」
「占い……ですか?」
「はい。 恥ずかしながら私、教会に使える前は占星術を生業にしていましたので」
そう言いながら、大小様々な輪が幾何学的に組み合わさっている器具を取り出す。まるで立体化した魔法陣のようだ。
「わかりました。 それじゃあそれが終わるまで待っていますね」
「ぜひそちらにおかけください」
俺は言われた通りのソファに座り込み、そこで占星術を見届ける。十数分ほどで占星術は終わった。
「どうでしたか?」
「すこし……まずいかもしれないです」
「まずい、ですか?」
真剣な声色で、端的にアストラが俺に告げる。
「この街で死傷者が出ます。 それも、大量の」
キャラ紹介
名前:アストラ=フール
職業:聖者
性別:女
年齢:不詳
概要:身長169ほどで、艶のある黒髪を腰近くまで伸ばしている。
元々生終天魔教にてシスターをしており、引退する前の位は心の司祭。今の教皇、ウィータの枢機卿時代の元付き人。
今は顔を隠して、教会に入る前に使用していたアストラという名を名乗っている。占星術による占いを元々生業としており、その業界ではそこそこ名が知れ渡っている。
神器
神聖領域
生終天魔教の本国である教会の最奥にある神器。神器本体は手のひらサイズの小さな金色の球体。凄まじい広さの範囲の汚れた魔力を吸収し、神聖属性を持った魔力として散布させる効果を持つ。これにより教会には魔物が寄ってこない。また、その魔力を吸収した人の自己治癒能力を僅かに上昇させる。
この神器の真髄は上記の効果ではなく、神器本体と連動している杭を4つ任意のとこに設置すると、その杭を直線で結んだ範囲に結界を貼ることができる。どれか一つでも欠けると結界を貼ることはできないが、杭を動かすには神器本体からの干渉が必要不可欠となっている。
ちなみにアストラが結界と言っていましたが世間的にはそう認知されているため、実際の効果とは微妙に違います。