サンクチュアリのギルドマスター
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俺たちは先ほど案内された部屋に戻ってきた。一言も発していないが、堅苦しい空気に慣れていないレオとシオルは疲れているようで、レオはベットに寝転がり、シオルは共同スペースにあるソファに座り込んでいる。
「いやぁ、ハラハラしたっすねぇ……」
「確かにあれは私もヒヤリとしたな」
レオの発言にシンラが同意の意を示す。確かに俺も背筋が冷えた。本当にあと少しでも対応が違っていたら戦争が起きてもおかしくなかった。
シンラとレオの会話を怪訝な様子でガネスが聞いていた。
「どうしたの、ガネス?」
「あ、あぁ……ちょっとアロガンスのことでな……」
そういうと、また何か考え出す。
「確かにアロガンスはプライドの高いやつだったが、あそこまで礼儀知らずで周りの見えない奴ではなかったはずなんだ」
「えぇ、そうっすかぁ?」
「確かに言われてみれば……」
ガネスの言葉にシンラも考え出す。彼と今回初対面の俺たち三人は蚊帳の外だ。俺は肩をすくめながらシンラに話しかける。
「とりあえず今考えてもわからないならいいんじゃない? それよりちょっと外に出てみたいんだけど」
「あぁすまない、この件は後でにしよう。 それで何か気になるものでもあったのか?」
「まぁ、とりあえずギルドに挨拶はしときたいし、適当にふらつきたいんだよね」
「そうか、わかった。 言われた通り、日を跨がないようにな」
「はーい」
俺は腰に雪月花を差し直して、外に出た。すれ違う教会関係者の人たちに軽く挨拶をしながら移動する。
「さて、ここのギルドは確か……」
事前にステアさんに聞いていたので、そこまで迷わずに着くことができた。
「ここかぁ」
サンクチュアリのギルドはメインの通りから一本それたところにあった。見た目は豪華な洋館といった感じで、教会ほどではないにしろ、大きなステンドグラスが目を引く。
中に入ると、数人ほどいるぐらいで、受付も並んでいなかった。俺は一番近くの受付まで歩いて行き、受付の女性はにこやかな笑顔を浮かべながら話しかけてくる。
「ようこそお越しくださいました、こちらはギルド協会サンクチュアリ支部です。 本日はどのようなご用件ですか?」
「ギルドマスターに会いたいんだけど、今いるかい? 一応ネイシスのギルドマスターの紹介状はあるんだが」
「ご確認しますね……確認できましたので、今からお呼びいたします、少々お待ちいただけますか?」
そう言いながら受付の女性は紹介状を持ちながら奥に歩いて行った。十分ほどで俺は受付の女性に呼ばれ、先程女性が入っていった扉を開けて中に入った。そこには上に繋がる階段があり、俺は受付の女性の案内で階段を登る。すると、いくつか扉がある部屋にたどり着いた。
「こちらです」
その扉の中でも一際大きな扉に案内された。受付の女性はその扉をコンコンコンと三回ノックする。中から、ガチャリと扉の鍵が開く音がした。
「入室の許可が出ました。 どうぞ中にお入り下さい」
「ありがとう」
ぺこりと受付の女性はお辞儀をすると、先程きた道を辿って戻って行った。
「失礼するよ」
俺が扉をガチャリと開けると、そこには大きなガラスから差し込む日に照らされている一人の女性がいた。
「初めまして、ミラト=スペクルム様。 私は当ギルドのギルドマスターを務めています、アストラと申します」
そう言いながら、アストラと名乗った女性はこちらに歩いてきた。
アストラの容姿や経歴は次の話で明かします!お待ちください!