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攻撃魔法の使えなかった鏡魔法使いは伝説のジョブ【鏡魔術師】となったので、のんびりと自由気ままに生きていきます!  作者: 鏡花
音楽国際交流

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閑話:昔話

遅くなりましたが、新年閑話になります!

「ほら起きてよ! 早くしないと新年祭始まっちゃうよ!」

「う、うん……」


 俺は幼馴染のメアの手を引きながら村の中心に走っていく。メアもオドオドとしながら俺の後をついてくる。


「ちょっと、まちな。 ミラト」

「何ぃ? 母さん、急いでるんだけど?!」

「デートに意気込むのはいいけど、お金は持ってるのかい?」

「あ、持ってない!」

「そうだと思ったよ」


 そう言いながら母さんは二つの小さな袋を手渡してくれる。袋の中には十枚ほどの銅貨と数十枚ほどの鉄貨が入っていた。


「ほら、小遣いだよ! そんだけあれば足りるだろ?」

「うん! 母さんありがとう」

「わ、私にまでありがとうございます……!」

「若い子が遠慮してるんじゃないよ! 楽しんできな」

「うん!」

「は、はい!」


 俺とメアはもらった袋を握りしめて、持っていない方の手を握りながら走り出した。









 村の中心には近くの村からチラホラと屋台が出ている。規模こそ小さいが、この村においては一大イベントだ。俺は香ばしい香りに引き寄せられて、串焼き屋の屋台に向かう。

 そこには去年もいた所々白髪が生えていきたガタイのいいおじさんがいた。おじさんは俺たちを見つけると、豪快に笑いかけてくる。


「よ、ミラトの坊主! メアちゃんとデートかい?!」

「デートってよくわからないけど、多分そう! おっちゃん元気だった?!」

「そうかそうか! んで、買っていくかい?」

「うん! メアも食べる?」

「う、うん……」

「じゃあおじさん、二個ちょーだい!」

「あいよ! ちょっと待ってな!」

「楽しみだね、メア」

「う、うん……!」


 数分もしないうちに、肉の焼ける香ばしい匂いが漂い出す。そして、そのまま肉を壺の中に豪快にドボンと突っ込む。肉を引き上げると、滴るほどの茶色いタレが纏わりついていた。その匂いを嗅ぐだけで口の中で涎で埋め尽くされる。


「早く早くっ!」

「はっはっはっ、もう少しだからな!」


 そう言いながら再度網に乗せて肉を焼くおじさん。先ほどとはまた違った匂いが俺たちの鼻を通り抜ける。


「ほらよ、お待ちどう!」

「ありがとう!」


 俺たちは銅貨を二枚渡して、串焼きをもらって走り出した。我慢できずに俺とメアはすぐにかぶり付く。少し焦げたタレがパリッと音を立てた後に、そのすぐ下の香ばしく焼けた肉を噛むと、ホロホロとほぐれる。焼きたてで熱いからか、隣で食べているメアはハフハフと、息をしている。


「おいしいね!」

「う、うん……!」


 そして俺たちは串焼きを食べながら、走り出した。そしてこの日を、日が暮れるまで満喫した。










「ん……夢かぁ」


 微睡の中から目覚めると、そこはいつもの鏡の部屋の中の寝室だった。隣ではリリーが眠っている。


「んっ……おはようございます、ミラト様」

「おはよう、リリー」

「何か、ありました?」

「うん、ちょっと子供の頃の夢をね……」

「そうですか」

「それよりも、リリー」

「はい?」

「新年祭、いこうか」

「それって……?」

「うん、デートのお誘い」

「す、すぐに支度します!」


 そう言って、リリーは寝室から飛び出して行った。俺も寝室のベットから降りて、着替え始めた。


「さて、ちゃんとエスコートしないとね」


皆様、新年明けましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりました。みなさんのおかげで、今日まで活動を続けて来れたと言っても過言ではありません。

本年も、マイペースに更新していきますが、どうぞ末長くよろしくお願いいたします。


                                     鏡花

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