表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

249/274

教皇

キャラ紹介あります。

 ん、今なんて言った? 教皇って言った? 嘘だよね?

 俺がそう思いながらシンラの方を見た。あ、シンラも驚いている。


「お久しぶりですね、シンファルラ殿下。 昨年の主要国会議以来ですかね?」

「え? あ、あぁ……こうして貴殿の素顔を拝見するのは初めて故、久しいとおっしゃられても、正しいか些か分かりかねるが……」

「そうですわね……普段は素顔をあまり見せないように、特殊なヴェールをつけていますからね……」

「まぁ……改めて、シンファルラ=フォン=ネイシスだ。 此度はお世話になる」

「こちらこそ、我が聖教国はあなた方を歓迎いたしますわ」


 大手をブンブン振りながら、開口一番に名乗りあげた人とは思えない丁寧な挨拶を行い、優雅な所作でシンラと挨拶を交わす。そのまま、軽く握手を交わした後、俺の方を向く。


「お初にお目にかかります、鏡帝ミラト=スペクルム様。 私は生終天魔教にて第102代教皇の位を預かっております、【生天】のウィータと申します」


 シンラの時よりも丁寧に挨拶をしてきた。なぜか片膝をついて、左胸に手を当てて敬礼のようなことまでしているし、なんでこんなことされているのか、俺は理解ができてないんだけど?

 そんな俺を見て、アレスが苦笑気味に横から教えてくれた。


「教会では四皇帝は神の力の一端を受け継ぐものとして讃えられています。 言うなれば教会における信仰対象ですので、少々仰々しく感じるとは思いますが、どうかご容赦ください」

「な、なるほど……えーと、ウィータさんでしたっけ?」

「敬称は不要です。 ぜひウィータと」

「じゃあ、ウィータさんで」

「……そうおっしゃられるのであれば……」


 なんか、不満そうな表情と声色だ。でも仕方がないじゃん。初めて会った人、しかも女性で教皇を呼び捨てなんて畏れ多い。宗教に属していないとはいえ、教皇がどのぐらいの地位なのかぐらいは把握している。


「改めまして、鏡魔術師のミラト=スペクルムと申します。本日は一学徒として、貴国にお世話になります」


 そういって手を差し出すと、少し迷った末、握手を交わしてくれた。そのまま俺は気になったことを聞いてみる。


「なぜ、あんな目立つようなことを?」

「お礼を伝えたかったので」


 そうにっこりと言われた。うん、お礼? 会った記憶ないんだけどな……。

 俺がいつのことか、なんのことか悩んでいるとアレスが教えてくれた。


「ラービス近辺でのことです、ミラト様。 あの時の馬車の中にいらっしゃたのが、外交後に帰国の途中だった教皇様だったのです」

「あー! あの時の! ご無事でよかったです」


 そっかあの時の重要な人っていうのは彼女のことだったのか。


「お礼が遅くなり申し訳ございませんでした」

「いえいえ、気にしないでください」


 その後、いえいえ、いやいやの押し合いが続いた。そして、その押し合いがひと段落した後、アレスがウィータに問い詰めた。


「それで、なぜわざわざ出てこられたのですか? 遅かれ早かれ面会を行う予定でしたので、弟様と一緒にお会いなされてもよかったのでは?」

「世界一と言われる大国の王太子と、四皇帝のお一人がこちらにお越しくださるのですよ? お迎えは相応の立場の人間が行うのが妥当ではなくて……?」

「しかし、それは枢機卿様方でもよかったではないですか?!」

「……その、予定でしたよ?」

「もしかして、抜け出してきたんですか……?」

「抜出してなんかないわよ! ちょっと、開放的な休憩をとりにきただけよ!」

「それを世間的には脱走と言うんです!」

「知りません!」


 あ、抜け出してきたんだこの人。


「もう抜け出してしまったのは仕方ないので、この後の面会の時には正装をお纏いになってください……」


 アレスが頭を抑えながらそう伝える。アレスって、苦労人?



ウィータ(ラテン語で生)

第102代教皇、終魔教皇のモルスとは双子の兄妹。

腰まで伸びたプラチナブロンドのストレートヘアー、165cm程の背丈と整った顔立ち、澄んだ青空のような右目と黄金の左目のオッドアイ

補足

歴代で唯一の双子での教皇。モルスの姉で外交や会談などを主に行う。基本的に明るく、ノリがよかったり思いつきで行動する一方で、思慮深く慈悲と慈愛に溢れているとも言われる。

元は枢機卿だったが、先代の引退と共に就任。教皇になってからまだ数年ほどのため、特殊な業務を覚えるために枢機卿に教えてもらっているが、嫌でたまに抜け出す

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ