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聖教国2

後書にちょっとした設定あります。読まなくても特に支障はないと思います。

 聖教国の門をくぐり、俺たちは中に入った。中に入るとすぐに見えてくるのは石レンガで丁寧に舗装された、聖教会まで続く道と、その道の左右に等間隔の幅で建てられたたくさんの種類の商店だった。


「あれ、露天商がいないのですね」

「何か理由があるのかな?」


 横を歩いていたリリーが聞いてくる。等間隔に建てられた商店には、飲み物をはじめとして、帽子に宝石、ポーションに護身用の武器、書店などの種類は多岐にわたるが、露天商や屋台の姿は一つも見当たらない。


「ないわけではございませんよ?」


 俺たちの問いを聞いていたのか、アレスがそういいながら近づいてくる。


「ではどこに?」

「この通りはメイン通り、通称【神の通り道】と呼ばれています。 それ故にこの道に面する建物は神に自らの姿を見せないために商店のみに制限されています」


 もう少し詳しく聞くと、生終天魔教の教えのうちの一つに、神は心優しい存在であるが故に、目に映る人の子ら、全てを救おうとされるらしい。しかし、神が下界と(かか)わりすぎるとその身が汚染されてしまい、魔に落ちてしまうんだとか。

 そのような事態を避けるために、人々は神に身を捧げたもの以外は神の通り道のすぐ近くでは姿を見せるような商いは禁止とされているらしい。


「なぜ商いだけなのですか?」


 実家が薬屋のアリーシアが話に入ってくる。アレスは特に困惑した様子はなく、その問いの答えを返す。


「商い。それは言い換えれば貧富の差が顕著に見えます。そして、差が見えてしまったら心優しい神はお救いになられるのです」

「面している建物が同じような規模なのも何か関係がありまして?」

「えぇ、同じ理由です。 所有している敷地に差があれば、それも一種の貧富の差に見えてしまうでしょう?」


 俺は宗教に入ってないからわからないが、そういうものなんだろうか。俺がうーんと考えていると、アレスが苦笑する。


「皆さんが深く考えることではありませんので、大丈夫ですよ。 話が逸れましたが、一本右の通りに露天商などがたくさんいますよ。こことはまた別の活気があり、良いものです」

「アレスさんみたいな人でも露天とか行くんっすね!」

「レ、レオくん……し、失礼だよ……?!」

「お気になさらず。 私もたまに同僚や部下と行きますよ? 程よい息抜きになるのです」


 そんなこんな話をしていると、聖教会まで結構近づいてきた。


「こう見るとすごいな……」

「あぁ、我が王城と遜色ないぞ」

「お褒めに預かり恐縮です。 もう少しで着きますので、もう少し頑張ってください。 もし辛いようでしたら馬車に乗っていただいて構いませんので」


 アレスがそういいながら先導していると、誰かが聖教会の方向から歩いてきた。そして、キョロキョロと周囲を見渡して、俺たちを見つけると遠くから見てわかるぐらい大きく手をブンブンとふる。


「アレスさん、あの方は……?」

「あの方……? って、何なさってるんですか?!」


 いつも落ち着いているアレスが珍しく大きな声をあげる。心なしかアワアワしてるし、大手を振っている人の周囲がここからでも分かるぐらいざわつきだす。その中心にいる人物は、まるでそんなことは気にしないというばかりにこちらに向かってきている。


「すみません、少々席を外します!」


 アレスはそれだけ言い残すと、すぐに走りだす。その後、大手を振っている人のところに追いつくと、なにやら話をしている。説得に成功したのかわからないけど、アレスはその大手を振っている人を連れながらこちらに戻ってきた。心なしか、ぐったりしてるけど。

 近づいてきて分かったが、大手を振っていたのは女性だった。


 リリーより頭一つほど高い背丈に、腰まで伸びたプラチナブロンドのストレートヘアがさらさらと(なび)く。

 青空のように澄んだ右目と神々しさを感じる黄金の左目の、ヘテロクロミアやオッドアイと呼ばれる、左右で色の違う瞳は美しく、その瞳が恐ろしいほど似合う整った顔立ちが目を惹いた。

 さらにはアレスよりも装飾の施された法衣を着用し、頭には金細工で精巧に作られた冠のようなものまでかぶっている。もしかしてアレスより、高位の人かな?


「あの、大変私事にはなり、申し訳ないのですが、一度皆様馬車に戻っていただけますか……?」

「それは、大丈夫ですが……」

「助かります……本当に、えぇ……」


 非常に疲れたような様子のアレスと、対照的に元気な、一緒に来た女性が先に馬車に乗り込む。周りがその光景を見てざわめきだしたので俺たちも馬車に乗り込む。

 そして全員が馬車に乗り込んだ後、アレスが開口一番爆弾発言を投下した。


「彼女が……教皇様です……」

「どうも! 私、教皇やってます!」


 ん、なんて?

Q、なんで神の通り道に貧富の差を見せちゃでダメなの?

A、神様が救いを与えてしまうから。その際に、その身が侵食されてしまい、いずれ魔に落ちる可能性があるから


Q、なんで神に身を捧げたら姿を平気なの?

A、神に身を捧げた瞬間、神の庇護下にはいり、祝福を受けます。特に何か強化されたりがあるわけではないですが、祝福された時点で神には人の子という括りから、自分のために動く駒(天使などと同じような認識)になります。


Q、祝福の効果って何?

A、神の身の侵食を代わりに受けることができます。そうすることで、いつまでも神は穢れなき存在で入れます。


Q、穢れをためこみすぎるとどうなるの?

A、イカれます。今のところ教会関係者でそのような記述はないですが、普通に何かしらのストッパーやら理念やらがぶっ壊れます。

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