聖教国
ミリオンまであと三万を切りました!今月はたくさん更新したい気持ちです(笑)
ネイシスを出てからすでに数日が経った。もうあと一日もすれば聖教国に着くらしい。何度か小さないざこざはあったが、初日のアレスによる脅は……お話の効果があってか大事にはならなかった。
「皆さん、明日には着く予定ですので、ついた時のお話をしておきましょう」
そういって馬車の中でアレスが俺たちの方に体を向けながら話をしだす。毎度思うけど、本当に盲目なのか疑うぐらい、スムーズに動いている。
「まずは一度皆さんには教会までお越し頂きます。 そこで教皇様から挨拶を頂戴いたします」
「質問よろしいですか!」
「どうぞ、ガネス殿」
「私たち、正装を今回の来日において持参していないのですが……」
「そこは大丈夫です。 皆様が学生であることはこちらですでに把握済みでございます。 そして学生の正装は制服というのが教会での認識ですのでお気になさる必要はございません」
「わかりました」
「では、話の続きを行いますね。 その後は音楽祭が始まるまでの間は自由に過ごしていただいて構いません。 宿というわけではないですが、教会の客間を皆様にはお貸しいたしますのでそこで過ごしていただければと思います。 何か困ったことがあればその場に居合わせている教会関係者の方々にお声がけしていただければお答えしてくださるはずです」
アレスが一通り説明を終える。思っていたより結構自由にさせてくれるみたいだ。
「何か他に聞きたいことはございますか?」
「一ついいだろうか」
「えぇ、もちろんですシンファルラ殿下」
「今し方、許可されていることはお話しいただいたが、逆に禁止事項や注意事項は何かあるのだろかお聞きしたい」
「わかりました。 お答えしましょう」
シンラの質問に対して軽くうなづいた後に、アレスは話し出す。どうやら質問でこの話題が出てこなかったら話すつもりだったようで、すぐに答えてくれた。
「まず当たり前として、聖教国内での魔法や武力による荒事を起こすなどは禁止です。 また、貴族の権威を振り翳すような行為も控えていただけると助かります」
「あっちの方がこの問題ありそうっすね」
「こら、レオ」
「あて!」
アレスの話を聞いていたレオが冗談混じりでそう呟き、隣にいたアリーシアに背中をバンっと叩かれていた。それを見たみんなが苦笑いをする。内心ではきっとみんなレオと同じことを思ったのだろう。
「加えて、日を跨ぐ活動はお控え頂きたいです。 もしやむ得ない場合は事前に報告をください。 私たちは皆様の身の安全を守る義務がありますので、ご協力の方お願いいたします」
そう言い切ると、そのままの流れで頭を下げるアレス。この人、お茶目なところもあるけどこういうところで素直に頭を下げれるのって何気ないことだけど本当にすごいと改めて思う。
その後、問題は特になく、一夜を過ごした。そして、夜が明けてから数時間ほど経った。
「皆さん、どうやらついたようですよ」
アレスが馬車から降りるように促す。馬車から降りると、俺たちの目の前には石でできた巨大な塀と、遠くに悠然と聳え立ち、雲を貫かんとしている、ネイシスの王城にも引けを取らないほどの建物、聖教会が目視できた。
遠くから見てもわかるほどの正教会の迫力に押されている俺値の目の前に、アレスが立つと、優雅に一礼する。
「皆様、改めまして聖教国サンクチュアリへようこそお越しくださいました。 国民一同、皆様のご来国を心より歓迎いたします。 皆様にサンクチュアリで良き学びがあらんことを!」




