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王立騎士養成学園

後書きが今回情報多いです。そんな気にしなくてもそこまで支障ないです。設定好きの方は読んでみて下さい

 騎士養成学園の生徒たちの協力もあり、あの騒動の後の昼食は何事もなく終えることができた。


「皆様、ご協力ありがとうございます。 後は我々にお任せになって大丈夫ですので、ぜひお休みください」


 アレスはそう言いながら、食事の終わった鍋などを持ってその場を離れる。調理で使った焚き火跡の周りには俺たちと七人の騎士養成学園の生徒が残された。少しの間静寂が続いていたが、騎士養成学園のうちの一人が気まずさに耐えれなかったのか、話しかけてきた。


「さ、先ほどはクラスメートが失礼しました……」

「君が悪いわけじゃないし、リリーはどう思う?」

「彼らは何も悪くないので謝罪は大丈夫ですよ」

「だ、そうだ。 だから気にしなくていいと思うぞ」

「感謝いたします……! 申し遅れました。 私は王立騎士学園のカーティア=フォン=カラムクと言います。 かの有名な鏡魔術師さんとお話しできて光栄に思います」

「鏡魔術師のミラト=スペクルムです。 そんなに畏まらなくていいよ」

「そ、それでは……これで、良いだろうか?」

「うん、よろしく」

「では、私のことはカティと」


 それからカティがみんなのことを紹介してくれた。


 それぞれ名前は、ルヴェーチカ、カルク、セラリア、ヴァハート、ザング、ムンムというらしい。この中で、他に貴族姓なのはセラリアとヴァハートだけらしく、二人はそれぞれ子爵家らしい。カティですら伯爵家だとか。それはみんな誰もアロガンスに意見しにくいだろう。


「待て、カティ」

「はい、如何しましたか殿下」

「先ほどから気になっていたのだが、一名足りぬのでは?」


 確かにそうだ。ここにいないアロガンスとララスの二人を入れても九人だ。馬車を降りる時は十人しっかり居たと思うのだが……


「あー、それが……変わり者でして、すぐにフラッとどこかいってしまうんですよ」

「……大丈夫なのか、そのものは」

「そのうち帰ってきますので……それに彼女は……」


 カティが何か言おうとしていると、茂みの奥の方からガサガサと、何かが近寄ってくる音がした。音を聞いた俺たちは武器をいつでも取り出せる様に構えた。

 そして茂みから出てきたのは、一人の女の子だった。


「うわ、何。 びっくりした」

「それはこっちのセリフだ。 どこ行ってたんだトモエ」


 カティからトモエと呼ばれた女性は右手で大きな猪を引きづりながら、左手には二匹のウサギの耳を無造作につかんでいる。そして何より、腰に刺さっている武器が目を引く。


「刀……?」


 彼女の腰には一振りの刀が刺さっていた。名前といい、まさか……と思った俺はカティに聞いてみた。


「なぁ、カティ。 彼女って」

「あぁ、紹介が遅れました。 彼女はトモエ=呉宵(くれよい)です。 当方の国、ヒモト当国から来た子です」

「呉宵トモエ。 祖国では先に姓をいう。 なれないと思うけど、よろしく」


 そういいながら彼女は頭を下げる。それだけいうと、トモエは獲物を引きずりながら俺たちから離れていった。どうやら血抜きを行うらしい。


「どうにも……自由ね」

「ミラトとはまた違った変わり者っすね……」

「え、俺って変わり者なの?!」


 レオからの衝撃発言に対し、みんなの方を見る。すると、みんなが気まずそうに目を逸らす。嘘だよね?


「諦めろ、ミラト」

「シンラ……」

「時には事実を受け入れろ」

「そ、そんな……」


 俺は項垂れながら最後の頼みの綱のリリーを見る。


「えっと……私はどんなミラト様でも好きですよ?」


 といってくれた。ありがとう、リリー! でも、否定してほしかったな!


「しかし、本当に変わってるがいいのか?」


 俺がダメージを受けているのを無視してカティにシンラが問う。カティは呆れた様な、諦めた様な声色で答えた。


「ハハハ……あんな様子の彼女ですが、僕たちの中では一番強いんです」


 どうやら彼女はほぼ実技の点数だけでSクラス入りしたのだという。実技だけで言えば、アロガンスとはみてわかるほど明確な差があるらしく、それが気にいらないアロガンスはあの様に傍若無人になっていったようだ。



 俺たちが話していると、血抜きを終えたのかトモエが寄ってくる。そのまま俺の方に寄ってきて、指を刺しながら話しかけてきた。ちょっと指先が赤い。


「貴方の刀、見せて」


 どうやら目当ては俺ではなく、刀だったらしい。


「なぜ?」

「見ればわかる。 その刀は相当な業物。 祖国で一度だけ見た国宝と匹敵するレベル。 少なくとも、父上のもっているものよりは上」

「お褒めにお預かり光栄だけど、君の父上を俺は知らないからな」

「こっちではそんな有名じゃない? 私の父上、呉宵ハクは十二天将の一人」

「な?!」

「シンラ、知ってるの?」

「あ、あぁ」


 十二天将とやらの名前を聞いた途端、シンラがいきなり大きな声をあげて驚く。


「十二天将とはヒモト当国における王族を守護する十二名の総称だ。 その名を授かった者はヒモト当国において、国王に次ぐ権力を持ち、 国土を守護する十二月将と合わせて二十四将と呼ばれている。 言うなれば超エリートの証明だ」

「ブイブイ」


 シンラの説明を聞き終わると、トモエはなぜか半目でドヤ顔しながら両手でピースしていた。


「じゃあ、見せて」


 そういいながらトモエが手を出してくる。見せること自体はいいのだが、先にまずは手を拭いてほしい。

 俺が渋っていると、何を思ったのか彼女は思いついたようにいってくる。


「じゃあ、私と打ち合おう」

「……は?」

カーティア=フォン=カラムク

騎士養成学園に次席で入学した青年。青色の瞳に、金髪ショートのイケメン。家柄は伯爵家

ルヴェーチカ

赤髪をツインテールにしている黒目の女の子。入試成績は七位

カルク

黒髪のツンツンとした短髪ヘアに茶色い瞳。入試成績は五位

セラリア=フォン=ハステォプティ

茶髪ストレートヘアの青年。家は子爵家で、服飾で有名。入試成績は三位

ヴァハート=フォン=ザック

オレンジ色の髪をショートボブにした女性。家柄は子爵家で、木工で有名。入試成績は六位

ザング

青色の髪と藍色の瞳をしている青年。入試成績は八位

ムンム

黄緑色の髪の毛と橙色の瞳をしている青年。入試成績は九位

トモエ=呉宵(くれよい)

ヒモト島国から来た女の子。黒髪をポニーテルと、前髪の一部が白いメッシュ状、翡翠色の瞳をしている。

父はヒモト島国における最高位権力者の一人。実技はぶっちぎりで一位だったが、座学が壊滅的で入試成績は十位


十二天将

十二の式神の肩書きを与えられた一族の総称。王族を守護する存在。


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