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対立?

もう数話だけ、この道中の話を書かせてください(>人<;)


「ぜひお願いします、アレス殿」

「えぇ、我が神と、無眼の名に誓って」


 そう言いながら、アレスが近づいてくると、ララスと呼ばれた青年が慌てた様子でシンラに話しかけ出す。


「あ、あのよう盲目の者の話を本当に信じるおつもりですか?! 考え直してください、殿下!」

「えぇ、確かに私は盲目で、目は見えていません。 ですが、私の瞳は、真実を見抜いていますよ?」

「何を言って……!」

「はぁ……ララス、悪いことは言わない。 少し……静かにしてろ」


 その様子を見たシンラは静かにララスにそう告げる。そう告げられたララスは顔を真っ赤にしながら、わなわなと震えている。その様子を見たシンラはさらに追い打ちをかける。


「それに先ほど、あのような……と言ったな、ララス」

「そ、それは……」

「アレス殿はあの生終天魔教にて五感司教の地位のお方だ。本来の司教よりも高位の階級である彼が一言、上層部に意見を行うだけで、貴殿のお父上が統治している地から教会に関する全てを撤収することも可能だぞ? 最悪の場合、ネイシスとの関係を検討されてもおかしくない。 そうなれば、ララス。 貴殿がその責を果たせるのか?」

「で、できかねるかと……思われます……」


 そこまで言われてララスは何も言い返せなくなり、黙り出す。


「であれば、この忠告は貴殿のためだ。 少し静かにしておけ」

「……承知、いたしました……」


 ララスを引き下がらせた後、シンラはアレスの方に向き直った。


「失礼いたしました、貴族の失態は、王族の失態と同義。 こちらの非礼、心より謝罪いたします」

「そちらの謝意は受け取りました。 では、お話をさせていただきますね」


 頭を下げるシンラに対し、それにアレスはにこやかに応じた。そして、そのまま事の真相を話し出す。


「大まかな流れは変わりません。 騎士養成学園の生徒であられるアロガンス殿がリリーシャ様にお声がけされました。 リリーシャ様が丁重にお断りをし、その場を離れようとした際に、そちらのララス殿がリリーシャ様の肩を掴み、アロガンス殿の元に来るよう強要していらっしゃいました。

 それを止めるために、王立魔導学園の皆様が止めに入り、言い争いに発展したところで、殿下とミラト殿がお戻りになられたのです」


 話を最後まで聞いたシンラは大きなため息をついた後、ララスとアロガンスのいる方に向き直って、話しかける。表情から察するに呆れと怒りが混ざっている様子だ。


「そうでしたか……さて、何か弁明はあるか?」

「そ、それは……」

「黙っているお前もだぞ、アロガンス」

「……」

「私の問いに答えぬのならいい。 だがその場合この件は陛下に伝えざるを得ないぞ」

「な?!」

「当たり前だ。 我々は国の代表、いわば扱いは使節団と変わらない。 そして、そこで我々が起こした問題は国家間との問題と変わらない。 お前たちはその自覚はあるのか?」

「し、失礼いたしました……」

「…………失礼、しました」


 ララスは顔面蒼白状態で謝罪を行う。それに対して、アロガンスはそっぽを向きながら不服そうに謝罪を行なった。


「アレス殿、私からも謝罪いたします。 大変失礼いたしました」

「若さ故の過ちですので、そこまで大事にする気はございません。 ですがもし荒事に発展した際は、安全と我々の自衛のため、少々手荒な真似をさせていただきます。 ご了承ください」

「えぇ、それはもちろん構いません」

「ありがとうございます。 どうか、お気をつけくださいね?」

「……」

 アレスはにっこりとしながらアロガンスたちの方を見る。だが、声がわらっていない。指摘されて居心地が悪くなったのか、アロガンスは無言で馬車の方に戻って行った。


「さて、そろそろ食事にいたしましょうか」


 アレスはいつの間にか両手にたくさんのお椀を持ちながら話しかけてきた。そういえば、昼食をまだだった。


「お、お手伝いします!」

「あなた方は……」

「さ、先ほどはクラスメートが失礼いました」

「あなた方は何も悪くありませんよ。 お手伝い、お願いしてもよろしいですか?」


 アレスは先ほどとは違い、柔らかな物腰で騎士養成学院の生徒にお椀を手渡した。

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― 新着の感想 ―
鏡魔術師って王族より上ですよね?たかが貴族が手を出していい相手なの?
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