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初対面

更新です

 俺たちが猪の解体や焚き火の支度、馬車を引いてる馬たちの飲み水の確保などをしていると、ガラガラガラと馬車の車輪が回る音が近づいてきた。音の方を見ると数台の馬車がこちらにやってきている。

 馬車が停車すると、すぐにハーラが降りてきて、アレスの元に駆け寄った。


「アレス様、遅くなりました」

「いえ、こちらもさほど時間はたっておりませんよ。 一度連絡した通り、馬たちの休憩と昼食を兼ねてしばらく休憩を行いますので、お手伝い願えますか?」

「えぇ、すぐに」


 そういうとハーラは自分たちの乗ってきた馬車に向かっていった。


「ミラト、少しいいか?」


 その様子を眺めていると、シンラに呼ばれた。俺は持ってた気をガネスとシオルに一旦あずけてシンラの方に向かっていった。シンラの後をついていくと、そこが見えないほど深いのに、人一人すら入れなさそうな横幅の不思議な竪穴があった。


「どうしたの、シンラ」

「あ、少しこれを見てもらっても?」


 シンラがそう言いながら穴の中を指した。よく目を凝らしてみると、確かに奥底に何かがあるようにも見える。


「ちょっと暗いね」


 俺は光魔法を使って穴の中を照らす。すると、深くて何があるかはよく見えないが、確かに何かがそこにあった。


「なんでしょうか?」

「取り出してみる?」

「できますか?」

「多分だけどできるよ」


 俺は土魔法を使い、穴を広げていく。いい感じに人一人が入れそうなほどまで穴を広げると、その穴に向かって飛び降りた。そこにあるものは結構深くまで刺さっているみたいだったが、少し力を入れたら意外とすんなりと抜けた。


「これは、剣……?」


 俺はよくわからないが、一旦引き抜いたものを鏡の世界(ミラーワールド)にしまう。


「何がありましたかぁ?!」


 穴が深いのでシンラが大きな声で叫ぶ。


「持っていくから離れてて!」


 俺は穴の底からシンラに向かって叫ぶ。聞こえたようで、シンラはすぐに穴から離れた。俺は土魔法で穴を埋めながら地上へ戻った。


「お帰りなさい、何がありましたか?」

「なんていうか、多分剣なのかな?」

「多分?」

「まぁ、見た方がわかると思うよ」


 俺は鏡の世界(ミラーワールド)から、引き抜いたものを見せた。


「これ……は?」


 シンラに手渡したのは土や(すす)で汚れてるが、それでも見てわかるほど真っ赤な物体だ。なぜ剣といったり、物体と曖昧な言い方なのかというと、


「今までで見たことありません。こんな剣は」


 刀身は雪月花と同じく刀状であり、溶岩を思わせる刀身をしている。しかし、柄の部分が、ヒモト島国からの書物などにたまに描かれている竜のような見た目をしているのだ。柄?というか竜のようは部分の方が、刀身より長くなっている。なんとも不思議な武器だ。


「これ、どうする?」

「一度お預かりいただいても平気ですか? ネイシスに戻った後、こちらで色々調べます」

「うん、いいよ」

「では戻りましょうか」

「そうだね」


 俺たちは来た道をたどって、みんなの元に戻っていった。


「みんな、もどっ……」

「だから! リリーちゃんにはもう婚約者がいるっていってるでしょ?!」


 俺とシンラが戻り、みんなに声をかけようとすると、争うような声が聞こえた。


「そうっす! だから諦めるっす!」

「うるさい! 平民如きがグランヴェ公爵家の私に逆らうのか?! さっさとそこを退け!」

「何度も言っているだろ、諦めろ。 アロガンス」

「お前は黙ってろガネス! 関係ないだろ!」


「皆、なんの騒ぎだこれは」


 シンラが代表して声をかける。すると、争いあっていた全員がシンラの方を向いた。


「殿下、どちらに向かわれてたのですか?」

「いや、 なに。 少し気になった場所があったからな。 それよりこれは何事だ?」

「私から説明いたします、シンファルラ殿下」


 そういいながら、シンラの元に寄ってきたのは、一人の青年だ。俺たちとは違う服装のため、おそらく棋士養成学園の生徒なのだろう。


「ベルン子爵家の嫡男、ララスか」

「お覚えいただき光栄です、殿下」

「それより何があったのだ。 端的に教えてくれ」

「はい。 あちらにいる獣人を、グランヴェ公爵家のアロガンス様が気に入り、声をかけたのです。そしたら獣人はアロガンス様の誘いを断り、愚かしいことに楯突いたのです。 それに賛同するように、あの平民どもとガネス殿がアロガンス様に対してあのような態度をとっているのです」


 なんか、あからさまに自分達には非がないと言ったような言い方をしてるな。だが、言ってる内容はひどく、傲慢さしか感じない。

 シンラも同じように感じたようで、頭を抑えながら首を振り、ため息を吐いた。


「あのなぁ……」


 シンラが苦言を呈そうとしたその瞬間だった。


「大事なことが抜けていますよ、ララス殿」

「っ……アレス殿」

「恐れながらシンファルラ殿下。 この私が無眼の名に誓って、真実をお伝えすると誓いましょう」


 アレスが右手を胸に当てながらシンラの前にやってきた。ララスと呼ばれた青年は心底嫌そうな表情をした。

今回出てきた剣のような物の解説は書いた方がいいですか?大きなことではないのですがネタバレなので……。知りたいという方がいらっしゃたらここに書き足しますので、コメントなどで教えてください

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