休憩
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俺たちはしばらくみんなで色々な話をしていた。アレスも意外と話すのが好きみたいでみんなと同じテンションで話している。
しかも気になったことは質問したり、逆にみんなが知らないことを解説したりと、アレックス先生とはまた違った先生といった感じだ。
そんなふうにしていると、馬車が止まった。するとアレスが立ち上がった。
「少し出ますね」
そういって外に出る。数分もしないうちにアレスは戻ってきて、馬車の外から中を覗くようにしながら声をかけてきた。
「皆さん、ここで王立騎士学園の方々との合流も兼ねて、一度休憩を行うようです。 昼食などの支度を行いますので一度外の方にお越しくださいますか?」
「わかりました。 みんな、我々だけ休んでいるわけにもいかないし、手伝わせていただこう」
みんなそのつもりだったようで、シンラを筆頭にすぐに馬車の外に出た。アレスは一瞬キョトンとした後に、にこやかに
「ありがとうございます。 それではお願いしてもよろしいですか?」
と言ってくれた。俺たちは外に出ると、体を伸ばした。馬車の中は広かったので特に窮屈な思いはしてなかったが、気分的にしたくなったのだ。みんなを見ると、やっぱりみんな体を伸ばしていた。
「お疲れですか?」
アレスがみんなの方に歩み寄りながら声をかけてくる。
「いえ、そうではなくて、なんとなく馬車から出たらしたくなりませんか?」
「よく分かります」
そう言いながらにこやかに笑うアレス。その手には先ほどまで持っていなかったものが握られている。
「それはなんっすか?」
「これは私の……というよりは五感司教専用の魔法道具ですよ」
そう言って、白と黒でできた弓を見せる。だがなぜか、弓を持っているのに矢筒を持っていない。
「その弓、どう打つの?」
「打てるの、その弓?」
「えぇ、問題ありません。 この弓、偽眼弓ニセマナコはこのように使いますので」
そう言ってアレスは魔力を弓にこめる。すると、少しづつ魔力が揺めきながら収束していき、矢が生成されていく。
そして、矢が完全に生成されてから、アレスは木が茂っている横道の方に向かって矢を引き出す。すると、弓についていた不自然に丸い物体が段々と開いていき、目のようなものが現れした。
完全に目のようなものがが開き切ったと思うと、アレスは慣れた手つきで弓を射る。放たれた矢は一直線に茂みに向かっていったと思うと、突然直角に曲がり出した。
「な?!」
その後も何度も曲がったり上昇や下降を繰り返したりして、最終的には茂みの中の何かに突き刺さった。アレスは茂みの中に歩いて行き、その後数分ほどで戻ってくる。しかし先ほどと違うのは自身の体長の二倍ほどありそうな大きな猪をズルズルと引きずってきている。
「こちらの解体の方、お手伝い願えますか? 騎士学園の方々が来る前に終わらせてしまいましょう」
そう言いながらアレスは解体用の刃物を撮りに別の馬車に向かって行った。
「アレス殿って、意外とお茶目なのだな……」
ガネスがポツリと呟く。多分みんな同じ気持ちだ。
偽眼弓ニセマナコ
五感司教専用の武器のうちの一つ。白をベースに黒で装飾が施されている弓。矢を打ち出す部分に丸い物体がついている。
普通の矢をつかって射ることもできるが、魔力を流すことで矢を生成することができる。そして、矢を生成すると同時に丸い物体は目が瞼を開けるように少しづつ開いていく。
【追跡】
ニセマナコの瞳が開き切っている時にのみ使える能力。自身の魔力に触れた対象にマーキングを行い、矢を射ることでその対象を追跡する。
【魔力矢生成】
魔力をこめることで矢を生み出す。こめる魔力の量で生成速度が変わり、属性を持つ矢を生成することも可能