移動開始
もう少しだけ前置きが続きます!
アレスと再開してからすぐに一週間が経ち、俺たちは朝日が昇り出す頃に学園の前に集まっていた。
「あれ、シンラにみんな。 もしかして俺たちが最後?」
「あぁ。そうなる。 とはいえ、先ほどみんな来たばかりだ」
「そっか」
「私たちよりもずっと前にきて支度をしていたぞ、あのお方は」
「皆さん、お早いお集まりですね」
俺とシンラが話していると、馬車の方で何人かの教会関係者と思われる人たちと積荷を終えたアレスがこちらにやってきた。積荷を終えたというのに、服には汚れ一つ見当たらない。
「おはようございます、アレスさん」
「おはようございます、皆さん。 もう少々で積荷も終わる予定ですので、そろそろ馬車に搭乗の支度をお願い致しますね」
そういうと、アレスは馬車の方にもう一度戻って行った。その後、アレスの言った通り十分ほどで積荷は完全に終わった。
「それではまずは正門に向かいましょう。 そこで、王立騎士養成学園の方々と、あちらの担当の教会関係者との合流を図りますので」
俺たちは正門に向かい出した。朝早いため、普段は賑わっている城下町も静かだ。馬車のガラガラといった音があたりに響いている。
出歩いている人が少ないため、スムーズに正門まで辿り着くことができた。
「どうやら私たちの方が少し先についたようですね。 少し待ちましょうか」
「じゃあ少し席を外しても? そこまで時間はかからないので」
「えぇ、問題ありませんよ」
アレスがにっこりと笑った。了承を得たので移り鏡で鏡の部屋に転移をする。
「ミロ!」
「キュ?!」
「ミロも一緒に行かない?」
「キュ? キュキュ?!」
ミロは一度首を傾げたが、質問の意図を理解したようで、嬉しそうに辺りを飛び回る。その後、定位置と言わんばかりに俺の頭の上に乗る。
「キュキュ!」
「ハハ、じゃあ行こうか」
俺は移り鏡で再度正門の前に戻って行った。俺が正門に戻ると、ちょうど騎士学園の人たちが到着した頃だった。
「お待たせしました」
「いえ、お気になさらず。 それとミラト様。 さきほどみなさまには紹介させていただいたのですが、彼がもう一人の責任者になります」
アレスがそういうと、一人の青年が左手を胸に置きながら軽く会釈をしてから名乗った。
「お初にお目に掛かります、鏡魔術師様。 私は生終天魔教にて心の助祭の四席のうち、楽の助祭の地位を預かっています、ハーラと申します。 どうか短い間になりますがよろしくお願い致します」
「丁寧にありがとうございます、こちらこそよろしくお願いします」
「キュ?!」
俺がお辞儀をすると、一緒に頭に乗っていたミロが返事をした。
「おや、魔龍の幼体ですか? これは珍しいものを」
アレスが返事をしたミロに対して反応を示す。だが、アレスさんは先ほどから位置が変わっていない。
「一目見てわかったんですか?」
「いえ、一眼どころか私は何も見えてないのですよ?」
「え?」
「それは後ほど馬車の方で詳しくお話しいたしますね。 そろそろ出立の時間ですので」
アレスはその後、ハーラと数回会話を交わした後、それぞれが担当する馬車の方に歩いて行った。俺も、アレスの跡を追うように馬車に戻った。
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