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おまけ:メアとファナの旅9

きっとみなさんが忘れかけていたであろう、おまけです

「ファナ……まだ、歩くの……?」

「そうよぉ〜」

「い、一旦……キュ、休憩し、ない……?」

「だめよぉ〜。 もう少ししたらにしましょうねぇ〜」


 今、私たちは獣道を歩いている。無造作に伸びた葉を払い除け、隆起した根を大股で跨ぐ。


「ファ、ファナ……?」

「なぁにぃ〜?」

「ど、どこを目指しているの……?」


 王都を出た後、もう何日も歩き続けている。ファナは行き先を今の今まで教えてくれない。


「そうねぇ〜、気になるぅ〜?」


 ファナが間延びした声で聞いてくる。いつもならなんとも思わないが、ここまで歩き続けて、疲労が溜まってる状態だと、絶妙にムカついてくる。


「いい、から……こ、答えて?」

「う〜ん、もう教えちゃってもいいかしらぁ〜」


 私がイラついていることを感じ取ったのか、ようやく目指しているところを教えてくれた。


「私たちが目指しているのは、聖教国よぉ〜」

「聖……教国……って、あの……?」


 この世界で生きている人なら一度は聞いたことがある、唯一無二の宗教がある。それが、生終天魔教。そして、その本拠地こそ、聖教国サンクチュアリ。その名は聖教国を守護している神器から名をとっているとされている。

 決して大国と言えるほどの大きさではないが、宗教の本拠地という性質上、名を知らないものはほとんどいない。


「でも……なんで、今更……」

「もう少ししたら、ある時期なのよ〜」

「ある……時期?」

「それは、次の休憩でねぇ?」


 そう言いながら、また歩くのを再開し出した。私も、前を歩くファナの後ろに続くように歩き出す。










 結局、日が暮れかけるくらいの頃に、小さな農村の宿にたどり着くまで休憩はなかった。私は備え付けられている水瓶から水を数杯飲んだ後、荷物の整理をしているファナに問いかけた。


「それで……なんで聖教国に向かっているの……?」


 ファナはこちらに向き直って、言ってきた。


「もう少ししたら、あらゆるがお祭り状態になるのよ〜?」

「祭り……?」

「そうよぉ〜」

「……もったいぶらないで、教えて」

「一度は耳にしたことあると思うわよ〜?」


 ファナは荷物から一枚の紙を取り出し、見せつけながら伝えてきた。


「その名も、音楽国際交流。 通称、音楽祭よ〜!」

「あぁ……音祭……」


 確か、正式な名称は、『芸術的無形文化財保護活動音楽部門国際交流』だったかな……長々しい名前であるから、皆は音楽国際交流と呼び、貴族以外の民衆はそれぞれの地域でさらに独自の呼び方をする。例えば、私のいた村では音祭とよんでいた。


「あら、メアのいたところではそう呼ぶのね〜」

「それで、どうして音祭と、聖教国が関係あるの……?」

「今回の、主催国が聖教国なのよ〜」

「それ……で?」

「ネイシスはねぇ、音楽国際交流に毎年その年に入学した王立魔道学園と、王立騎士養成学院の成績優秀者を授業の一環として送り出すらしいのよぉ〜」

「……つまり?」

「察し悪いわねぇ。 鏡魔術師として覚醒する前から階級Sとして生きてきたのよぉ? そんじょそこらの貴族の御坊ちゃま、お嬢様に劣るとおもう〜?」

「てことは……?!」

「待ってれば、あっちからくるのよ! ミラトが!」


 最後だけ真剣な口調でファナが言い切る。でも、そんなことはどうでもいい。


「急ごう……!できるだけ、早く……!」


 私は今までで一番、元気に満ち溢れていた。


今回、おまけ話はもう一話で終わる予定です!

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