神器の暴走
自分でもちょっと今後の展開どうしようか悩んでます……笑
一応説明はできる終わり方にするつもりではありますが、納得いかなかったらぜひその際はコメントください笑
「これは一体……」
アザレアを覆い隠すように現れた黄金の蔓や蔦、さらにはアザレアの意識がある時にはなかった極太の根が先ほどとは比べ物にならない範囲を破壊し出す。
「危ない!」
「っ?!」
唐突にリリーの足元かあら黄金の根が数本現れ、リリーを包み込もうとする。それをリリーは間一髪で回避する。捕縛する相手を失った根は、スルスルと地面の中に戻っていった。
「ミラト様、これは……」
「おそらく、神器の暴走だ」
あの瞬間、アザレアの敵意は無くなっていたはずだ。だが、何かしらの要因がトリガーとなり、アザレアの中にある神器が制御不能となったのだろう。
「まずは止めないと!」
「ですね」
俺たちはアザレアの方に向き直った。アザレアは黄金の膜で全方位を覆われ、その中で水の中の水草のように揺蕩っている。
俺はタクトをしまい、雪月花をもう一度取り出して、魔力を込め始めた。リリーも自らの武器に魔力込めている。
「きたよ!」
俺たちの魔力に反応したのか、視界全てを埋め尽くすほどの黄金の蔓たちが襲ってくる。
「刀術【燕返し】」
「剣術【骸砕き】!」
俺は雪月花で、リリーは十分に魔力を込め、一撃の威力を上げた対の双剣 撃による一撃をそれぞれ放つ。
ガキンッ
しかし、当たった蔓はまるで金属同士がぶつかったような甲高い音を響かせながら、少し弾かれただけだった。さらには俺たちがいた場所の真下から黄金の根が襲ってくる。
「危なっ!」
「っ!」
俺たちはそれをバックステップでギリギリ回避する。だが、それも予測していたかのように左右の崩壊した建物から蔦が出てきた。
「しまっ?!」
「っ!【重力操作・引】」
俺は重力魔法で蔦を地面に引っ張る。引っ張られた蔦はギリギリで俺たちには当たらなかった。
「ミラト様!」
突然リリーが俺の目の前に氷魔法で分厚い壁を生み出す。その刹那、無数の巨大な植物の種らしきものが飛来してきた。リリーが作った氷の壁も、数個の種を受け止めただけで大きな亀裂が入っている。
「あんま持ちません!」
「みたい、だねっ!」
俺が移り鏡でリリーの真横まで転移した瞬間に、氷の壁は瓦解し、俺のいた場所はものの数秒で、見るも無惨な姿となった。
「まさか、他の攻撃方法もあるなんてね」
「さらに厄介になりましたね……」
「しかもあっちは魔力切れがなさそうだ」
その言葉を示すかのように、アザレアの体から黄金の魔力が湧き出る。
「さぁて、どうしようか……」
冷や汗をかきながら、俺は目の前の光景を睨みつける。俺たちの気持ちなんざ知るかと言わんばかりに、攻撃が止む気配はない。
「それでも、絶対助けるからな」
俺はそう呟いた。
刀術【燕返し】 刀で斬りつけ、返で同じ場所を二度切りつける。
剣術【骸砕き】順手で持った剣の刀身で叩き切る技。刀術における兜割と同じ経緯で生まれた。