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心変わり

そろそろ終わります、多分……

 あの日を境に、アザレアちゃんは大きく変わった。笑顔は増え、やりたい事はしっかりと言うようになった。そして何より変わったのは、


「ミラトさん、次はあそこに行きませんか?!」

「えっと、どこ?」

「案内します!」

「あ、ちょ!」


 やたらと俺と出かけたがるようになった。しかもアザレアちゃんからの接触が増えてきた。おかげでリリーからの視線がものすごく痛い。


「我慢をしなくていいって、こんなに晴れやかになるんですね!」


 そう言いながらニコニコとする笑顔を見て、なかなか注意をできない。


「アザレアちゃんばっかりずるいです……」

「ごめんね、後でちゃんとリリーの行きたいところにも行こうね」

「……絶対ですよ?」


 拗ねるリリーの頭を撫でながら宥める。


「ミラトさん? どうかしましたか?」


 きっと両親の面影を重ねているのだろう。俺はそう思いながら、アザレアちゃんとの時間を過ごしていた。









 そして、例の事件が解決してから二週間ほどが経った。俺たちもそろそろ学園に戻り出さなければならなくなってきた。

 ちなみにサマリの件には、教会から一名の枢機卿と二名の司祭の三名を主にした一団が派遣されてくるとの事。残念なことに俺たちとはすれ違いになるらしいが、枢機卿ともあろう方が関与してくれるなら、まず間違いなく公正な判断をしてくれるはずだ。


「アザレアちゃん、今いいかな?」

「はい、どうなさいましたか?!」


 俺が声をかけると、すぐに返事をするアザレアちゃん。なんか小動物感がすごい否めない。ミロと似ている気がする。


「えっと、俺たちもうそろそろラービスを離れるんだ。 だから後は、王宮から派遣された方々に……」

「え?」

「もう決めたことだからさ、三日後ぐらいにはラービスを出る予定で……」

「私……嫌で、す……」

「ごめんよ。 嫌って言われても俺たちも他にやらなくちゃいけないことがあるから……」

「もう、一人は嫌です……」

「アザレアちゃん……」

「そ、そうだ! そ、そうですよ! ミ、ミラトさんは鏡魔術師ですよね?! そ、それだったらそ、その権限を使えば、その用事を遅らせたり、消したりすることだってできるじゃ無いですか?! そ……それならまだここにいても……」


 なんとかしてここに引き留めてこようとしてくるアザレアちゃん。アザレアちゃんの気持ちがわからないわけでもないし、実際リリーと話してる時に話題に出た。でもその上で、俺たちはラービスを離れることにした。

 今のアザレアちゃんは俺たちに依存し出している。それはアザレアちゃんのためにならないと思う。


「ごめんね、アザレアちゃん。 でも、アザレアちゃんと同じくらい、大事な人を俺のわがままで待たせるの申し訳ないからさ、もう行かないとなんだ」

「そう……ですか」

「ごめんね」

「い、いえ……すみません、今日は一旦帰宅します」


 そう言って、俺の返事を待たずにアザレアちゃんは家へと帰っていった。その後ろ姿はとても寂しげだった。


曇らせって難しい

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