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苦心

更新頻度落ちてごめんなさい。

「それで、どうして逃げたの?」


 苦しそうに顔を歪めるアザレアちゃんに対して、俺は問い掛けた。アザレアちゃんは搾り出すような、か弱い声で答えた。


「それは……こ、怖いんです」

「怖い?」

「はい。 リリーシャさんと、会うのが……怖いんです」

「それは一体……」

「私が……私が、ミラトさんを傷つけたからです」


 それからさらにアザレアちゃんは、まるで自分を責めるように心の声を吐露(とろ)し始めた。


「私が、醜い自分勝手な復讐心に駆られて、結果的にミラトさんに大怪我を負わせてしまった……リリーシャさんの好きな人を、傷つけてしまった。傷つけたのが私だと知られたら私は、私は……」


 そう言いながらアザレアちゃんは涙を流し出した。


「実はね、アザレアちゃん」

「は、はい」

「俺も復讐はしたことあるんだよ?」

「え?」


 俺はそうやって思い悩むアザレアちゃんに過去の過去のことを話し出した。


「もともと俺は別の国で冒険者をしていたんだよね。 そこでまぁ、二年ぐらい一緒に活動していたパーティーの人たちに見捨てられたんだ」

「酷い……」

「それでね、まぁなんやかんやあって彼らに再開したときは俺の金でやりたい放題。それのせいで病気だった俺の母さんは亡くなったよ」

「……」

「あの時は本気で殺してやるって、思ったよ。 本気でやり返すことに疑問も持たなかった。 結果としてはやり返してさ。 殺すまではしなかったけどね」

「それで……」

「あぁ、結局何が言いたいかっていうとね。 君だって俺だって人間だ。 大きな力を持っていても、だからと言って全てを許すだとか、そんなことはしなくていいと俺は思うよ。だって人間には感情があるんだから、家族がなくなれば悲しい。 殺されれば悔しい。 殺した奴が憎い。 そんな感情を持つのだって、感情を持つ生き物の特権だと思う。 ただ、その感情だけに飲み込まれたらダメだと思うけどね」


 俺はそう言いながら、軽く微笑む。


「私は……許されていいのですか……?」

「そこは俺が許すとか許さないって決めるのは無理かな。 だから……」


 俺はそう言いながら物陰の方に視線を向けた。そこには隠れて話を聞いていたリリーがいた。


「リリーシャさん……」

「本人に聞いてみようか」

「アザレアちゃん……」


 リリーを見て、その場から後退りし出したアザレアちゃんだったが、その手をリリーが掴んで引き留めた。


「この手を、ミラト様が守ったのですね……あなたが手を汚さずに済んだことを私も嬉しく思います」

「リ、リリーシャさん……」

「アザレアちゃん、私とお話ししてくれませんか?」

「……っ! ご、ごめんなさいっ!」

「大丈夫、大丈夫ですよ」


 泣きじゃくるアザレアちゃんを優しく包容するリリー。アザレアちゃんはリリーの包容を抵抗することなく受け入れながら、少しづつ話し出した。


「わ、私が……魔法で、魔法でミラトさんを……うっ、ご、ごめんなさいぃぃい……」

「大丈夫ですよ、安心してください」

「わた、私が、私が」

「アザレアちゃんを責める資格は誰にも無いんですよ。 ミラト様にも、もちろん私にも」

「でも、でも……」

「私も自分の両親の仇を前にして、我慢できませんでしたから」


 リリーはそう言いながら切なそうな笑みを浮かべた。


「私のせいで、ミラト様は一時的とはいえ、片腕を失いました。 あの時は本当に怖かったんです。 きっと、アザレアちゃんが感じた気持ちとあの時の私の気持ちは同じだと思いますよ?」

「そ、それで、も……」

「これ以上苦しまなくて、いいんですよ……よく頑張りました」


 そういいながらリリーはアザレアちゃんの頭を撫でた。アザレアちゃんは声にならない嗚咽をあげながら静かに泣いていた。

なんか、アザレア泣かせてばっかりだけど趣味じゃ無いんで、勘違いしないで下さいね!!!!!!!!!!!

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