嵐が過ぎた後
お久しぶりです、更新です。
レイソルとの会談も終わり、一休みを終えた俺たちはラービスに戻った。
「慌ただしいね」
「ですね」
「まぁ、それだけレイソルが早く動いてくれたってことかな」
ラービスは今までよりも多くの衛兵や騎士などがあちこちに見受けられるようになった。数日前にレイソルに伝えたばっかりなのに、ここまでの迅速な対応は、レイソルなりの責任の果たし方だろうか。
「じゃあアザレアちゃんのところに行こうか」
「はい」
アザレアはレイソルと話をした後、ひと足さきにラービスに戻ってもらった。寂しそうな表情をしていたが、特に何かを言うわけでもなく、ラービスに戻っていった。
「確か、今はレイソルが一時的に貸している屋敷にいるんだっけ?」
「そう聞いていますが」
「じゃあそこに向かおうか」
俺たちはレイソルに教えてもらった屋敷のところまで歩き出した。
「え、帰ってきていない?!」
「はい、一度ここに来られてから一度も」
「そう、ですか」
レイソルに教えてもらった屋敷について、門番にそう教えてもらった。どうやら一度案内された後、出かけてくると伝えた後、それから帰ってきていないらしい。
「申し訳ございません……」
「いえ、貴方のせいではないのでお気になさらず……どこか見当はついたりは?」
「それが私にもさっぱりでして……」
「そうですか、ありがとうございます」
「いえ、お気をつけて」
俺たちは門番に軽く会釈してからその場所を離れた。
「アザレアちゃん、どこに行ったんだろうね」
「魔力探知をしてみては?」
「してみたけど……反応ないし、おそらく隠蔽してるんだろうね」
「そうですか……」
「とりあえず聞いて回るしかないか」
「そうですね」
「まずはギルドに向かうか」
「はい」
俺たちはギルドに向かって歩き出した。
ギルドで聞き込みをして約一時間ほどがたった。
「収穫なし……か。 覚悟はしていたけど来るものがあるね」
「そうですね」
聞き込みをしてみたが、確信どころか、それらしい情報すら得ることはできなかった。
「次にいそうなところだとしたら、居住区とかかなぁ」
「そこでも聞き込みをしてみますか?」
「うん、そうしてみよう」
「分かりました」
「さて、もう少しだけ休憩したら行こうか」
「そうですね」
俺たちはそれから十分ほど後に居住区に向かい出した。
「あんたらが探してる子かは知らないけど、ここ最近になって見かけるようになった子はいるよ?」
「本当ですか?!」
「えぇ、本当よ」
「それはどの辺りで?!」
「あそこに見える家の辺りよ」
聞き込みを再開してから一時間ほどで、有益な情報を得ることができた。教えてくれた家のあたりはありふれた住宅街だ。
「確か、教えてもらったのはこの辺りのはず……」
俺がそう言いながら進んでいくと、ちょうどドアから誰か出てきた。
「おっと、すみません」
「え、その声はミラトさん……?」
「もしかして、アザレアちゃん?」
「しまっ?!」
ドアから出てきた子はフードを深く被り、誰かはわからなかったが、声でアザレアちゃんだと分かった。アザレアちゃんは驚いて俺の名前を呼んだが、そのすぐ後にしまったといったような声をあげて、すぐに逃げ出してしまった。
「え、ちょ。 アザレアちゃん?!」
「っ……!」
「リリー、追うよ?!」
「は、はい!」
俺たちは逃げ出したアザレアちゃんを追いかけ出した。
「はぁはぁ……い、入り組みすぎでしょここ?!」
「そ、そうですね……はぁはぁ……」
「あ、いた?!」
「っ!」
アザレアちゃんを見つけては逃げられてを、かれこれ三十分ほど続けている。入り組んでいる地形に、居住区で人が生活しているため、派手に動けない遠慮が相まって、それなりに息が切れてくる。
「リリーは、あっちの、方をお、お願い……」
「わ、分かりました」
俺たちは二手に分かれて探し出した。俺が息を軽く整えた後、歩き出そうとした時だった。
「……ミラトさん」
俺の後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「少し……少しだけ二人でお話がしたいです」
そうアザレアちゃんがいった。
「いいよ。 話そうアザレアちゃん」
俺は声がした方に返事をしながら振り返った。そこには、フードを外しながら、苦しそうに顔を歪めたアザレアちゃんがいた。