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緊急会談

更新になります。繋ぎ回です

「あーー、ようやく休めるね、リリー」

「そうですねぇ」


 俺たちはぐったりとした様子でベッドに倒れ込んだ。ここ数日が忙しすぎて、何してたか思い出すのも大変はぐらいだ。


「とりあえず、あとはレイソルに任せるしかないか」









 俺はあのあと、捕らえたサマリを生終天魔教の教会に引き渡した。夜中に急にお邪魔したのだが、教会にいいた神官は事情を一通り話すと、快く留置所を使わせてくれた。


「お聞きいたしますが、そのお怪我の方は如何いたしますか? 私程度、止血ぐらいしかできませんが……」


 俺が全身ボロボロなのを見かねたのか、留置所にサマリを収容したあと、すぐにそう声をかけてきた。


「あ、あぁ、大丈夫……っ! ですので」

「そうおっしゃいますが……あまりに、その……」


 俺は食い下がる神官の前で、治癒の鏡を使用した。すると、全身の傷はまるで無かったように消え失せた。


「これはこれは……要らぬ心配でしたね」

「いえ、心配してくださりありがとうございます。 アザレアちゃんもありがとうね」

「い、いえ……」

「アザレアちゃん?」

「な、なんでもございません!」

「そっか。 ならいいんだけど……」


 アザレアちゃんの挙動が少し不自然だったが、本人がなんでもないというのならいいだろう。無理に聞き出すことでもないしね。


「それで、彼の引き渡しの時期についてのご相談なのですが……」

「それは今から俺がしてきます」

「左様でしたか。 では一つこちらの要求をお伝えしてもよろしいですか?」

「?」

「私は見ての通り、ただの神官です。なので、国との直接的なやりとりを行う権限は持ち合わせてはいません。なので、本国の方に一報を入れたのち、適任者を派遣して頂かないといけないのです」

「なるほど。 ちなみにその権限を持ち合わせているというのは、具体的には?」

「そうですね……階級は助祭以上にはなりますが、何分今回の件は大変大事ですから……最低でも司祭以上、場合によっては枢機卿級の方がこられてもおかしくないかと思います」


 そう神官は告げた。


「そうでしたか。 だとすれば都合をつけるのも大変でしょう」

「はい。 なので、大変申し訳ないのですが、半月以上のお時間をいただきたく」

「分かりました、そうお伝えします」

「感謝いたします」

「ではこれで失礼します」

「えぇ、あなた方に神のご加護が在らんことを」


 俺たちは、教会を後にし、一度アザレアちゃんを鏡の部屋に預けた。その後すぐに移り鏡を使い、ネイシスの王城の前にやってきた。


「これは鏡魔術師のミラト様! このような夜分に何用ですか?」


 俺たちが転移すると、門番が敬礼をしながら聞いてきた。


「申し訳ないが、レイソル……レイソティールに緊急の用があってきた。 どうか上に早急に繋げてほしい。 私の名前も出して、迅速に頼む」

「しょ、承知いたしました!」


 そう言いながら、門番は上司のもとに走って行った。そして数分もしないうちに、俺たちは中に案内された。

 俺たちが王城に入ると、入ってすぐの場所に宰相のフォーディルさんがいた。


「こんな夜分に申し訳ないね、フォーディルさん」

「何やらお急ぎのご様子、すぐ仁王にお取りつぎいたしますよ」


 そう言って俺たちの前を歩き出す。俺たちはその後をついて行った。


「失礼します、フォーディルであります」

「入れ」

「失礼致します」

「失礼、レイソル」

「失礼致します」


 俺たちはレイソルのいる部屋についた後、躊躇いもなく部屋の中に入った。


「して、急ぎの用らしいが、何があった?」


 どうやらまだ公務をしていたようで、書類を両の手に持ちながら問いかけてくる。俺は近くのソファに勝手に座ると、本題を切り出した。


「迷宮都市ラービスに終焉之救済(ラスト・レリーフ)がいた」

「なんだと?!」


 俺がそういうと、レイソルは持っていた書類を机にバンっと叩きつけながら立ち上がった。


「それは本当か?!」

「あぁ、もちろん。 しかも十二之円卓(ラウンズ)だ」

「それは誰だ!【蹂躙】か?! それとも【使者】か?! あるいはこの前ミラトたちがあった【狂気】か?!」

「いや、そのどれでもない。 あいつは、自分のことを【隠者】と名乗っていた」


 俺がそう言った途端、レイソルは持っていた書類を勢いよく床に叩きつけた。


「くそっ! 私は自国で二人もの十二之円卓(ラウンズ)を野放しにしていたのか!」

「気持ちはわかるが少しおちついてくれ、レイソル」

「あ、あぁ……すまない、己の不甲斐なさのあまり、苛立ってしまったようだ。……フォーディル」


 床に叩きつけられた書類を丁寧に拾い集めていたフォーディルにレイソルは声をかけた。


「はい」

「すまないが茶を一杯淹れてくれ。 そのあとはすぐに会議の支度を」

「承知いたしました」


 フォーディルさんはレイソルの指示に従い、部屋を出た。レイソルは大きなため息を一つ吐いた後、俺の前に座った。


「何度もお前には助けられているな、ミラト」

「今はそんな話をするために来たんじゃないんだ。 その話はまた今度な」

「あぁ、そうだな。 それで、なぜわかったんだ?」

「それに関しては俺だけの話じゃないからな、呼んでもいいか?」

「あぁ、構わん」

「リリー、お願い」

「はい、分かりました」


 俺は移り鏡を出すと、リリーはその鏡を通った。そしてすぐにアザレアちゃんを連れて出てきた。


「お、お初にお目にかかります。 私は、アザレア=フォン=ラビュリントゥスと申します」

「その名は確か、迷宮都市の本家の子だったな? して、父親は一体どこに?」

「父様……いえ、リービルは……殺されました」

「そうであったか……無粋なことを聞いてしまったな。すまない」

「いえ、お気になさらないでください……」

「それで、ミラトよ。 このこが今回の件とどう関係あるのだ?」

「端的にいうと、彼女の両親は分家の当主二人に殺された。 そして、その二人に手を貸していたのがさっき言った【隠者】ってやつだ」

「そうか……そこまであやつらの魔の手が伸びていたのか……」


 そう言いながら俯くレイソル。だが数秒もしないうちに顔を上げて問いかけてきた。


「それで、私に何を頼みたいのだ? ミラト」

「そう来ないとな」


 それから俺たちは急遽始まった会議に参加し、これまでに起こったことや今のラービスの現状、今後のアザレアちゃんの立場やラービスの運営についての話と、新たに判明した十二之円卓(ラウンズ)についての話し合いが行われた。


 そしてその会議は日を跨ぎ、翌日の昼過ぎまで行われた。

もう少しお付き合いください、ここから多分ヒートアップします。多分。きっと……

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