地下の戦闘
お久しぶりです。なんか納得いかなかったのですが、このまま更新しないのもな……となりましたので、更新です。
「小癪な事をしてくれましたな、アザレア」
「わ、私だって力があります! あ、あなたの好きにはさせません!」
「先ほどまで震えてることしかできていなかったというのに、お仲間が優れているからって、調子に乗ってしまいましたかな……?」
なんとか冷静さを保とうとしているロスティトリアだが、言葉の節々にイラつきを感じる。
「あ、ありがとう。 アザレア」
「いえ、このくらいは」
「あの程度の攻撃を防いだ程度で、いい気になられては困りますな!」
「っ?!」
振る下される指に連動して、まるで生きているとしか思えない糸が縦横無尽に迫ってくる。
「【物理反射】」
「ほう……?」
俺は咄嗟にスキルを発動させた。六枚の大きな鏡が俺たちを囲う様に現れた。その鏡に触れた瞬間、糸は大きく弾かれた。
「中々面白い事をなさりますね、ミラト殿。 では、これはどう捌きますか?」
そう言い放ったロスティトリアからは魔力の反応があった。
「何を……?」
「すぐに分かりますよ」
そう言いながらロスティトリアは糸を振り下ろした。
「それは私が! 花魔法【ハナミズキ】!」
先ほどと同じ様に、アザレアの魔法が糸を受け止めた。しかし、花が糸に触れた瞬間、一瞬動きが止まったものの、すぐにその花が燃え出し、糸はまた動き出した。
「な?!」
「まさか、付与】?!」
「正確には違いますがね、まぁ教える必要性はないでしょう」
「っ?! 風魔法【上昇風域】!」
魔法をとなえた瞬間、俺とアザレアの周囲から上向きに突風が吹き荒れた。その突風に煽られて、糸は軌道を大きく逸らした。
「す、すみません……わ、私のせいで……」
「い、いやアザレアは悪くないよ」
「で、でも」
「よそ見はしていていいのですかな?」
「っ!」
間髪入れず、次の糸が俺に向かって襲ってくる。俺はその糸を雪月花で弾いていく。弾かれた糸が地面に触れると、触れたところから凍りついたり、熱を持った様に赤くなったりしている。
「なんだその糸は?!」
「口調が崩れていますよ、ミラト殿!」
「くそっ!」
「その程度ではない筈ですよ、ミラト殿! 早く力を使ったらいかがですかな?!」
「勝手なことを……!」
そう強がっているが、正直今のままではジリ貧なことは確かだ。
「そこまでしても力を出さないというのであれば、仕方ありません。 そのまま死になさい」
今までで一番の速さで糸が俺に迫ってきた。
「っ! 【移り鏡】!」
俺は移り鏡を出して、咄嗟にロスティトリアの後ろに転移した。
「読めていますよ!」
「ぐっ?!」
俺が転移してきたと同時に顔をこちらに向け右足で俺を蹴り飛ばした。
「くそっ!」
「ようやく、離れましたね」
「しまった?!」
ニヤリと笑ったロスティトリアは、指を動かして数本の糸をアザレアの方に向かって高速で繰り出した。空を切りながら、糸がアザレアの方に向かっていく。
「っ! 【移り鏡】!」
「っ……?」
俺はアザレアに糸が触れる前に、その間に割り込み、雪月花でその糸を受け止めた。
「ミラトさん?!」
「大丈夫? アザレアちゃん……?」
「私よりもあなたが?!」
糸を受け止めた俺だが、ギリギリだったことで数本ほど防ぐことができなかった。防ぎきれなかった糸は俺の腕や脚などに深い切り傷を与えた。
「身を挺して守る姿、まるで王子の様ですね。 しかしもうその体ではまともには動けないでしょう? 次であなたたちの息の根を止めさせていただきますよ」
拍手をしながらロスティトリアが歩み寄ってきた。
花魔法【ハナミズキ】
小さな白い花を生成する。その花に触れた魔法や物理攻撃を防ぐことができるが、炎系統にめっぽう弱く、炎系の効果を持つものに対しては一瞬しか受け止めることができない。
風魔法【上昇風域】
指定した範囲を囲むように、足元から上にかけて強力な突風による壁を作り出す魔法。飛び道具などの攻撃を無効化することに長けている