閑話:日の出
新年閑話です。初日には間に合いませんでしたが、まぁ誤差でしょう。
「リリー、起きて」
「はぁい……起きれまふぅ」
「呂律まわってないよ」
朝早く、まだ日が登っていない時間にリリーを優しく起こす。俺の声を聞いて、小さなあくびをしながら、兎角で丸まりながら寝ていたミロもゆっくりと瞼を開けた。
「キュウ……」
「起こしてごめんねミロ」
「キュ……」
フラフラと飛びながら俺の頭の上に乗り、また眠り始めた。俺はミロを起こさないようにしながらリリーを抱き上げた。
「ほら、起きてリリー」
「ふぇ……え?! す、すみません!」
寝ぼけていたリリーだったが、俺がお姫様抱っこで抱き上げると、顔を赤くしながら目を覚ました。
「おはよう、リリー」
「お、おはようございます……」
「さて、着替えてリリー」
「わ、分かりました」
俺は抱きかかえていたリリーを降ろした。リリーは別の部屋にいき、以前もらった着物に着替えだした。
俺は台所に行き、朝食を作り出した。
「お、お待たせしました……」
「ご飯できてるよリリー」
「あ、ありがとうございます……」
リリーは椅子に座ると、俺が用意した朝食を食べだした。俺も軽い洗い物をした後、席に着き朝食を食べだした。
「これたべたらもう出かけるからね」
「はい、分かりました」
俺たちは朝食を食べ、皿を洗った後に移り鏡を出した。
「じゃあ行こうか」
「はい」
「キュ!」
俺たちは移り鏡でとある山の上に転移した。まだ日は出ておらず、雲の上なこともあり灰色の景色が広がっている。
「寒いですね……」
「キュキュ……」
「まぁ、山の上だからね」
俺はそういいながら魔法を使い、一定期間の外気を遮断し、その後別の魔法で空気を温めた。
「これで、もう少し待とうか」
「はい」
「キュ!」
十数分ほど待っていると、少しづつ地平線が赤く染まりだした。
「あ、ミラト様!」
「お、そろそろだね」
数分ほど待っていると太陽が見えてきた。
「綺麗ですね、ミラト様」
「そうだね、リリー」
「キュキュ……」
「ミロも好きかい?」
「キュ!」
「そっかそっか」
俺たちはその後数分ほど太陽の上ってきている方向を見ていた。数分もたてば太陽のほぼすべてがみえてきた。
「新年って感じだね。 リリー、ミロ」
「はい?」
「キュ?」
「明けましておめでとう。 今年もよろしくね」
「こちらこそお願いします、ミラト様」
「キュ!」
「じゃあもう少ししたら帰ろうか」
「はい」
「帰ったら暖かいもの作ろうか」
「はい!」
俺たちは手を繋ぎながら移り鏡で鏡の部屋に戻った。