表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

210/274

閑話:年の瀬

ギリギリの年末閑話の更新です!

「今年もお世話になりました」

「いえいえ、こちらこそミラトさんには大変お世話になりましたから。 お礼を言うべきなのは私ですよ」


 今年最後の日、俺はお世話になった人たちに、今年一年の感謝を伝えに行っていた。まず初めに向かったのはシンラのところだった。


「この後はどちらに向かわれるのですか?」

「まずはクラスメートのみんなのところには行くでしょ? そのあとはステアさんと、その後に少しよるところがあるんだ」

「時間は大丈夫なんですか?」

「まぁ、歩いたりしたらそれなりにかかりそうだけどね」

「相変わらずの規格外ですね」


 シンラが乾いた笑いを浮かべた。俺もつられて笑い出した。


「じゃあ行ってくるよ」

「はい。 お気をつけて」

「ありがと」


 俺は手を振りながら移り鏡を潜っていった。










「おや、どうしたのかしらミラト」

「今ステアさん平気?」

「一応仕事はひと段落してるわよ」

「そっか良かった。 何かのむ?」

「そうね、戴こうかしら」


 ステアさんは近くの椅子に座ると、間髪入れずに紅茶を頼んだ。俺はステアさんとは反対側に座り、果実水を頼んだ。飲み物はすぐに提供され、ステアさんは優雅な手つきで一口紅茶を飲んだ後、問いかけてきた。


「今日はリリーちゃんはいないのね」

「まぁ、ちょっとね」

「何、喧嘩でもしたのかしら?」

「いや、そうじゃないよ。 リリーは今、里帰りをしているんだ」

「里帰り?」

「あぁ。 俺もこの後そこに向かう予定だよ」

「そう。 なら無駄な話をしてないで早く向かったほうがいいと思うわ」

「あんまり自分との話を無駄っていう人はいないと思うんだけどな……」

「あら残念、ここにいるわよ?」


 不敵に笑いながらステアさんはそう言った。俺は肩をすくめた後、果実水を飲み切った。


「じゃあ手短に。 ここ最近なんか起きたことはある?」

「そうね、少し待ってて」


 ステアさんはそういいながらカウンターの奥に行き、数枚の紙を持ってきた。


「これぐらいかしら」

「どれどれ……」


 そうしてステアさんからここ最近の事件について聞いた。


「なるほどね」

「まぁ、そんな大したことはないわ」

「そうだね。 じゃあそろそろ……」

「そうね、いってらっしゃい」

「ありがと」


 俺は会計用の銀貨を一枚置くと、そのまま移り鏡で転移した。










 俺は移り鏡でリリーの村に転移した。既にリリーから俺がくることを聞いていたようで、壮大な出迎えなどはなかった。俺が村に入るとすぐに、村の村長が声をかけてきた。


「失礼ですが、もしかして貴方様が鏡魔術師様のミラト様で間違い無いですか?」

「えぇ、そうですよ」

「私は村長のムーラサォといいます。 リリーシャの居場所まで案内いたします」


 50代ぐらいの男は名乗った後、誘導するように俺の前を歩いていく。俺も静かにムーラサォの後についていった。その間、ぽつりぽつりとリリーの昔話をしてくれた。俺は何も言わず、ただ聞いていた。十数分ほど歩いていると、村長は止まり、前の方を指差した。


「ここから先に、リリーシャとその両親の墓があります。 私はこれで、失礼します」

「ありがとう、ございます……」

「こちらこそ、リリーシャを大切にしていただき、感謝しています」


 そういいながら来た道を戻っていった。俺はそのまま直進すると、すぐに二つの小さな石と、その石の前に花を添えながら手を合わせているリリーがいた。


「リリー」

「あ、ミラト様」


 俺が声をかけると、すぐに立ち上がりながらこちらを向いて返事をした。


「報告は……終わった?」

「……はい」

「そっか」


 俺は少し寂しい顔をしているリリーの頭を軽く撫でた後に、リリーの両親の墓の前にあるいて行き、墓の前でしゃがむと、静かに手を合わせながら数分ほどの黙祷をした。


「ミラト様……」


 その様子を見ていたリリーがそう呟いたのが聞こえた。


「じゃあ、行こうか」

「……はい」

「リリー」

「はい?」

「ご両親の二人に変わって、幸せにするからね」


 俺はそういいながらリリーの手を握った。リリーからの返事は聞こえなかったが、強く握り返されたて手と、ユラユラと揺れている尻尾を見れば、いうまでも無いだろう。

今年も読者の皆様には大変お世話になりました。

私自身の都合により更新頻度には昔からばらつきがありますが、それでも読んでくださっている皆様には頭があがりません!

来年こそは!というと辛いことになりそうなので(笑)、変わらずマイペースに更新して行きたいと思います。


流石に目標は定めておきたいので、2024年内には100万pv行きたいと思っていますので、応援の方をしてくださると、幸いでございます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ