リリーシャの実力
新情報が恐らく多めです!
【移り鏡】で、転移してきた俺たちは周りに誰もいないかどうかを確認して、ダンジョンに入った。
「とりあえず、ここで試してみようか」
「はい!ところで……ここは一体?」
と、周りをきょろきょろと見渡した。辺り一面ゴツゴツとした岩肌に、樹木や植物が所狭しと生えている。
「ここはダンジョンランクCの【森林洞窟】だよ。まあ、幻を見せる霧とかあるらしいけど、何とかなると思うよ」
と、ネイシス内にあった(メシアさんの記憶参照)ダンジョンにやってきた。ボスもエルダートレントだし……ん?エルダートレント? エルダートレントは確か討伐推奨レベルがAのはずなんだけど……あれ? でもメシアさんの記憶だとエルダートレントの討伐推奨レベルはCになってるぞ……
「あ、あの~ミラト様……もしかしてここ……【迷いの森林洞窟】ですか……? ダンジョンランクAの……」
と、聞いてきた。俺も聞いたことがある。幻覚作用のある濃霧が常に漂うダンジョンだと……
あれ? 今のこの状況……似てね? てかまんまじゃね? あれ、結構やばい?
「と、とりあえず奥に進もうか」
と言って歩き出した。幸い、メシアさんの記憶内ではマッピングも済んでいるようだし迷う心配はなさそうだしね。
俺たちは歩き続けていると右側の方から、ガサガサっと聞こえてきた。
俺たちが身構えるとそこからは案の定魔物が出てきた。
「森林小鬼五体に、上位森林小鬼一体か。リリー、できるか?」
「はい! 任せてください!」
と、元気な返事が返ってきたので任せるとする。万が一のために俺も【雪月花】を、構えてはいるが。
「グギャギャギャギャギャギャギャ!」
と、汚い鳴き声を漏らすゴブリンたち。それに対してリリーはとても落ち着いている。
「【風の目!】」
と、リリーが叫ぶと同時にリリーシャの周りから風が吹き出した。
【風の目】は攻撃能力を持たない代わりに生み出した風に魔力を乗せることによって、風が何かに遮られた場合、乗せた魔力が型抜きのように遮った物の形をすることで何があるか、何がいるかを判断する風の探知魔法である。この場合、霧で視界が悪いので周囲の状況を知るのに、探知魔法を使うのはとても良い判断だといえる。
「見えました! 【氷縛】」
今度は氷の妨害魔法【氷縛】を使用した。ゴブリン系の魔物は基本的にすばしっこい個体が多いので、機動力を削ぐという判断は間違ってはないだろう。
もろに【氷縛】をくらったゴブリンたちは動けなくなったことに戸惑っている。
そこにすかさずリリーシャは双剣術、【揺らめきの舞】を、使用した。
ゆらり、ゆらりと、揺れながら斬撃を繰り出すリリー。一撃はそう高くないものの着実にダメージを与えている。
【揺らめきの舞】はあえて体の力を抜くことによって、不規則な軌道に、ワンテンポ遅れた斬撃を放ち、敵を混乱させる双剣術である。
と、解説をしていると、いつの間にか倒し切ったようだ。最後のゴブリンを倒したにも関わらず、周りの警戒を怠らないで伏兵を気にしている。とても実践的な判断だ。
そして、少しして伏兵がいないと知ると、リリーと俺はようやく武器を構えるのをやめた。
「やりました! ミラト様! どうでしたか?!」
「うん、よかったと思う。とても理にかなった動きだった。最も……俺は反対側なんだけどね……」
「あ、ほんとでした!」
と、言いながらこっちに駆け寄ってきた。
なんか、ちょいちょい抜けてるよね。戦力的には今のところ問題ないけど、それ以外のところがなぁ……ほんとに大丈夫かなぁ?
少し短いですが作者のモチベが切れました...。