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攻撃魔法の使えなかった鏡魔法使いは伝説のジョブ【鏡魔術師】となったので、のんびりと自由気ままに生きていきます!  作者: 鏡花
迷宮都市ラービス

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商人

更新です!

「【物理反射(バリア)】」

「うわ、あぶね!」


 俺たちに向けて投げられたナイフを俺はスキルで跳ね返した。跳ね返ったナイフは的確に商人の元に戻ったが、商人は軽口を叩きながらそのナイフを避けた。


「もぉー、危ないじゃないですかー」

「じゃあそんなものを人に向かって投げるんじゃないよ」

「それも確かにそうですね」

「……やりにくいなぁ」


 俺たちはアザレアにかけてもらった幻を解除してもらい、商人の前に姿を現した。商人は俺たちの後ろにいるアザレアの姿を見て嬉しそうな反応をした。


「その子はもしや、……いやはや、もうお見付けくださるとは、さすが鏡魔術師様ですね」


 先ほどナイフを投げてきた人間とは思えないほど、ニコニコとした様子でこちらに近づいてくる。そしてすぐ俺たちには目もくれず、アザレアに向かって手を伸ばした。

 アザレアは不気味に感じたのか、俺の後ろに隠れ、その手を避けた。それを見て不快に感じたような表情をしながらアザレアの頭目掛けてその腕をさらに近づける。


「触れるな」


 伸ばされた腕がアザレアに触れる直前、俺はその腕をつかみ、静止した。


「なぜ止めるのですか?」

「何をするつもりだ」

「何をって……保護ですが何か?」

「明らかに保護する気ないだろ。 あんた、殺意出しすぎだぞ」

「……はぁ、できることならあなた方と対立はしたくなかったのですがね」


 そう言った後、手を引っ込めた商人は距離を取るようにバックステップした。


「最終通告です。 その子、アザレアをおとなしく渡してください。 こちらとしても今あなたたちと敵対することは避けたいのです」

「それを聞いて、わかりましたと言うとおもってる?」

「まぁ、ですよね……はぁ、あまり武力行使は得意ではないのですが、仕方ありませんね」


 そう言いながらこちらに向かってくる商人。その手にはいつの間に取り出したのか、刀身が蛇のようにうねっている短剣が握られていた。


「死んでください」

「ミラト様!」


 俺に向けて突き出された短剣を、前に割り込むような形でリリーが受け止める。


「先にいってください。 ここは私が」

「わかった。 任せたよ、リリー」

「はい!」


 俺はリリーたちの横をアザレアとすれ違い、扉の方に向かって行った。


「そう易々と行かせるとでも……」

「よそ見なんかしていいのですか?」

「っ!」


 俺たちを追おうとしていた商人を、リリーは氷魔法の氷針(アイスピック)を頬に掠めることで意識を自らに向けた。


「はぁ……まぁ、いいでしょう。 中にはあの方がいらっしゃいますからね。 私が遊んであげますよ!」


 やれやれと言った様子で首を軽く振った商人はリリーの方に向き直ると、うちに秘めた殺意をむき出しにした。


「舐めていると痛い目を見ますよ?」


 そう言いながらリリーも武器を構え直した。


「舐めている? ご冗談も大概にしてください。 これは圧倒的な力から来る強者の余裕というやつですよ。僕は終焉之救済(ラスト・レリーフ)において最高位の称号、十二之円卓(ラウンズ)が一人であられる隠者様直属の配下、ボイド。 この俺が貴方を苦痛の末に殺してあげよう!」


 そう言い終わると同時に先程の倍はあろう速さでリリーに向かって手に持っている短剣が突き出された。

氷針(アイスピック)

氷で針を作り飛ばすシンプルな魔法。大きさなどは自由に調節可能


ボイド

十二之円卓(ラウンズ)の隠者直属の配下で、四人いるうちの一人。主に情報収集や特定の相手とのパスを繋げる役を担うことが多い。そのため様々な役職を語るため、本人も無自覚のうちに口調や一人称が混ざっている。(なので、最初に出てきたときと話し方が違ったり、話の中で一人称が変わりますが、ミスではありません)

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