追跡
ヤバいクリスマスまであとちょっとなのにまだこの章の本編が終わらない……頑張りますので応援お願いします……!
数時間ほどで俺たちは迷宮の外に出た。出る時に見つかると思ったが、キユリの魔法によって俺たちはバレることなく階段から外に出れた。
「それで、どうする?」
「まずはサマリのいる屋敷に向かいます。 彼らはきっと私を見つけるために夜な夜な作戦を練っているでしょう」
「なるほど」
「場所はわかりますか?」
「一回行ったからわかるよ」
「では、行きましょう」
俺たちサマリの屋敷にまで向かっていった。
「つきました」
俺たちの目前には、この前おとずれたサマリの屋敷の近くにいた。
「厳重だねぇ、困ったな」
屋敷の前には昼とは違い、二十を超える門番がおり、庭も数人の兵士が巡回している。
要人でも来ているのだろうか、豪華な馬車が屋敷の門の近くに停まっている。
「あ、ミラト様!」
そう言いながらリリーが指を指した先には、ちょうど館から辺りをキョロキョロしながら、いそいそと出てくるサマリの姿があった。その後ろを落ち着いた様子でバラートさんが追従している。
「どこか行くのかな?」
そう俺が呟いた瞬間、さらにもう一人の人物が館から出てきた。
細身の長身で、整えられたちょび髭を生やしている男性だ。身に纏う服は豪勢で、身分を隠す気はないようだ。
「あの人は……?」
「あの人がもう一家の分家の現当主のクガバです」
「あの人が……ん? あの人って」
クガバの後を追従するように館から出てきたのは、ラービスに初めてきた時に会った商人だった。
「何でこんなところに……」
「馬車に乗るようです」
アザレアがそういうと同時に、四人は表に停まっていた馬車に乗り込み、走り出していった。
「追いましょう」
「そうだね、リリー行こう」
「はい!」
「アザレアちゃん、ちょっとごめんね」
「はい?…… って、うわぁぁ!」
「あぁぁあ?!」
俺は有無を言わさず、アザレアを抱き抱えた。驚いているアザレアと、恨めしそうにいてくるリリーの視線に気づかないふりをしながら俺は走り出した馬車を追い出した。その俺の後をリリーがついてきている。
馬車は狙っているのか知らないが、何度も何度も曲がったり、裏道を通ったりしている。
「見失わないようにね?!」
「……はい」
「……拗ねてる?」
「別に?!拗ねてませんけど?!」
リリーが拗ねてる。これが終わったら後でリリーにしてあげよう。
十数分ほど馬車を追っていると、街の端の方まで来た。どうやら居住区のようで、家が所狭しと乱立している。馬車はその中の家の前に泊まると、馬車に乗っていた四人はその家の中に入っていった。
「あそこは?」
俺はアザレアを下ろしながら、そう聞いた。アザレアは過呼吸になっていたが、何とか答えてくれた。
「お、恐らくです……が、避難用のか、隠れ家だと思います」
「なるほど」
「どうやって追いかけますか?」
「とりあえず、近づいてみよう」
「はい」
俺たちはゆっくりと扉に近づいていった。
「ふぁぁ、かったるいなぁ……ったくよぉ」
俺たちが扉に近づいたタイミングで、扉が開き、中から例の商人が出てきた。その商人は少しあたりをキョロキョロと見渡した後、俺たちの方を見ながら話しかけてきた。
「んで、こんな夜中に何用で? 何かお入りの物でもございますかぁ? なーんて」
「なっ?!」
「こちらでよろしいでしょうっか!」
俺たちがいるところに向かって、数本のナイフが投げられた。