閑話:ハロウィンの日のギルド
ハロウィンということで、閑話です。
「え、イベントに出て欲しい?」
「そうなの! どうにか頼めないかしら?」
俺たちは朝、ギルドに向かうとステアさんに両の手をパチンと合わせながらお願いされた。
「えっと、どういうことですか?」
「ご、ごめんなさい。 とりあえず事情をお話しするわね」
俺たちは近くにある椅子に腰をかけて、飲み物を頼んだ。数分後に飲み物が来て、それぞれが一口ほど飲んだタイミングでステアさんが話始めた。
「今日はハロウィンっていう日でしょ?」
「えぇ、そうですね」
「それで、ギルドでも何かしようって話が上がったんだけど」
ギルドは貴族から冒険者になる人も多いが、基本的には平民がなることが多く、そのため地方に足を運んでギルドを宣伝したりしているのは知っている。おそらく今回もその一環だろう。
「それでね、ギルドでは冒険者の人たちに子供たちにお菓子を配ってもらおうってことになったの」
「はぁ、それで?」
「それで、有名な人に来て欲しいんだけど、あいにくウチに所属している人たちで人気な人たちは他国の依頼とかでいなくて」
「それで俺たちにおはちが回って来たと」
「そうなるわね。 どうかしら、受けてもらえないかしら?」
そう言ってもう一度、ステアさんは手を合わせながらお願いしてきた。
「リリーはどうしたい?」
「私ですか?」
「うん。 こう言ったらあれなんだろうけどおそらく今回の狙いはリリーだからね」
どの時代も美人、美少女というものは華があり、目立つものだ。集客効果は高く、噂が広がればそれはもう水面に落ちた波紋の如く広まるだろう。
「ですよね、ステアさん」
「まぁ、否定はできないわね」
と、ステアさんは苦笑いしていた。
「まぁそういうことだから、リリーはどうしたい?」
「私は……」
数分ほど考えていたが、決意したような様子でステアさんにリリーは答えた。
「やります! やらせてください!」
「ありがとうリリーちゃん!」
ステアさんとリリーは固い握手をしていた。俺は空気になりながら飲み物を飲んでいた。
数時間後、日は暮れかけて、夕陽が街を照らしていた。あちこちで魔物や歴史上の人物の仮装をした子供達が走り回っている。
「「「とりっくおあとりーと!」」」
「はーい、お菓子ですよー」
「わーい!」
「ありがとうおねぇちゃん!」
「ありがとー!」
「気をつけてねー」
「「「うん、わかったー!!」」」
リリーからお菓子を受け取った男の子たちは元気に走り出していった。それを見ているリリーも嬉しそうだ。
「やっっぱりリリーは可愛いからな」
俺はギルドの三階からその様子を見下ろしながら呟いた。
今リリーはステアさんが用意した衣装を着ている。その衣装は過去の異世界人の勇者の仲間が身につけていたとされている巫女装束という、赤と白を基調とした服だ。露出はとても少なく、それなのに大人っぽさと優しさが滲み溢れている。
「さて、頑張ってるリリーのために、甘いものでも作ろうかな」
俺は移り鏡で鏡の部屋に戻り、リリーのためにお菓子を作り出した。
トリックオアトリート!
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