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面会

書くことがない!

 日が傾いてきた頃、俺たちはサマリの館の前にいた。


「何者だ!」


 俺たちが門に近づくと、門番が持っていた槍をむけてきた。


「本日の夜に面会予定のものです。 えっと、バラートさんを呼んでいただけますか?」

「わかった、少し待ってろ」


 荒々しい口調だが、門番は一応納得したようで、屋敷の中に入っていった。数分ほどして、慌てた様子の門番が出てきた。


「し、失礼いたしました! 鏡魔術師のミラト様とお連れの方ですね。 どうぞ中にお進みください!」

「ありがとう」

「い、いえ! 先ほどは失礼いたしました!」


 門番は俺の正体が分かったようで冷や汗をダラダラとかきながら敬礼をした。


「お待ちしておりました、どうぞこちらに」


 館に入るとすぐにバラートさんが出迎えてくれた。俺たちは先を歩くバラートさんの跡をついて歩き出す。数分もしないうちに豪華な扉の前についた。


「こちらの部屋にお掛けになってお待ちください」

「どうも、丁寧に」

「では、失礼します」


 バラートさんは軽く会釈すると、音を立てずに移動していった。俺たちは扉を開けて中に入った。


「じゃあ、待ってようか」

「はい」


 俺たちは部屋の中にはいって、手前側に用意されていたソファーに腰掛けた。ソマリが来るまで俺は部屋を見渡した。部屋には壺や絵画などが飾られているが、正直言って価値がわからない俺からすれば、「なんかあるな」程度だ。そんな事とを思っていると奥の扉が開いた。


「いやはや、お待たせしました」


 初めて会った時の尊大な態度は全く感じさせず、ヘラヘラと媚を売るような様子でサマリが現れた。正直ちょっと、というかだいぶ気色悪い。隣でリリーも一瞬嫌な顔を浮かべていた。サマリはニコニコとしながら俺たちの対面にあるソファーに座った。


「お待たせして申し訳ございません、本日は何卒よろしくお願いいたしますミラト様」

「はぁ……」


 あまりの変化に思考が追いついていない。


「まずはお飲み物でもお飲みください、何がよろしいですか? なんでもお持ちいたしますよ」

「いえ、おかまいなく……」

「左様でしたか、これは失敬。 では何か軽食でもお持ちいたししましょうか? 作らせますよ」

「いえ、だからお構いなく……」


 下手すぎて、昨日とは別の意味でめんどくさくて、やりにくい。


「早速本題に入りましょうか、お話ししたい事とは?」

「あぁ、その件ですか」


 飄々とした態度は変わらないが、あからさまに声のトーンが変わった。


「えぇ、腕利きの冒険者を集めていたのも何か理由があるんですよね?」

「……」

「お話ができないようでしたら俺たちはこれで」


 そういって俺たちは席を立った。それをみたサマリは慌てたようにソファーから立ち上がり、俺たちを引き止めた。


「お、おまちください! わ、わかりました……お話しいたしますので、どうかお座りください……」

「……聞きましょう」

「は、はい。 まず私が冒険者を使い、手練れの冒険者を集めていた理由ですが、ある人を探しているのです」

「ある人?」

「はい。 これは極秘事項なのですが……」


 サマリは言葉をなんとか濁そうとしていたが、諦めてため息をひとつ吐いた後に話を続けた。


「探して欲しいのです」

「探して欲しい?」

「はい、本家の跡取りで正当なこの街の領主の資格を持つ少女、()()()()を」

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