表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

181/274

廃城の中

講義中に更新です(笑)

「広いね……」

「ですね」


 俺たちは廃城の中に足を踏み入れた。その中は凄惨というに相応しかった。広々とした大広間は壁の至る所に切り裂いたような跡や、大きな穴が空いている。元は綺麗だったであろう垂れ幕やカーペット類も引き裂かれている。そんな不気味な空間を歩いていると、俺の足に何かがぶつかった。


「ん? これは?」


 俺はそれを拾い上げた。一見するとひどく歪んだ鉄塊にしか見えない。だがどこかで見たことがある。俺ではなく、俺の中にある()()()()()()()()が既視感を覚えた。


「ミラト様?」


 俺は下から見上げてくるリリーの声を聞いてハッと顔を上げた。リリーを見ると不思議そうにこちらを覗き込んでいる。


「……いや、なんでもないよ。 行こうか」

「はい」


 俺は拾い上げた鉄塊を鏡の世界(ミラーワールド)にしまうと、大広間を進み出した。


(にしても……メシアさんはいつこれを見たのだろう……確か、メシアさんのいた頃にはこの迷宮はなかったはずだ……)


「まぁ、いいか」

「何がです?」

「ん? いや、ただの独り言だよ」

「もしかして、何か隠してませんか?」

「い、いや?」


 俺がそう言いながらそっぽを向くと、リリーは拗ねた子供のように頬を膨らませた。


「まぁ、別に言いたくないなら言ってくれなくてもいいですけど……」


 そしてこの廃城に似つかないほどの笑顔を浮かべながら告げた。


「私は何があろうとミラと様のそばにいます!」


 俺はそう告げたリリーの頭を撫でながら、お礼を言った。


「うん、ありがとう」

「いえ、この程度」

「じゃあ改めてさっさとこの層を終わらそうか」

「はい!」

「じゃないと、リリーが怖がっちゃうもんね」

「ミラト様っ!」

「アハハ! ごめんごめん」


 俺たちは和やかな空気のまま進んでいたが、上の階で聞き慣れていた音によって遮られた。その音とは鎧が擦れる、ガシャンガシャンといった、金属音だ。


「リリー」

「わかってます」


 俺たちは武器を抜いて構えた。ガシャンガシャンと言った金属音は次第に大きくなっていき、ついにその姿を捉えた。

 俺たちの前には一際豪華な鎧をした動く鎧(リビングアーマー)と、その後ろに五体の動く鎧(リビングアーマー)がいた。しかし俺は違和感を覚えた。


動く鎧(リビングアーマー)なのか? でも上の階と見た目が少し違うぞ?」


 俺は映し鏡を使った。そこにはこう書かれてた。


 名前:無し

 レベル:35

 性別:不明

 種族:動く鎧兵(リビングソルジャー)

 スキル

 剣術

 痛覚無効

 称号:【亡国の兵士】


 名前:無し

 レベル:41

 性別:不明

 種族:動く鎧騎士(リビングナイト)

 スキル

 剣術

 痛覚無効

 統率

 礼儀作法

 称号:【亡国の騎士】


 と出てきた。


「亡国の兵士と騎士……か」

「ミラト様! きます!」


 俺が映し鏡を見ていると、目の前にいる動く鎧騎士(リビングナイト)を先頭に、俺たちに向かってきていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ