夢から醒めて
お久しぶりです!ありがたいことにミリオンまであと35万PVとなりました!これもひとえにみなさんのおかげです!
今後もゆっくりとマイペースに更新して行きますのでどうかみなさんお付き合いください。
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「リリー、キユリちゃんの様子はどう?」
「眠ってはいるのですが、少し辛そうというか悲しそうというか」
「まぁ、女の子が一人で迷宮の中にいるんだからきっと何かあったんだろうね」
「そうですね……」
キユリの顔を眺めていたリリーが呟いた。
「私も…… 私も同じような顔をしていたんですかね……」
「リリー……」
リリーは耳がへたれていた。同情、いや共感だろうか。きっとおそらくリリーは一人で過ごしてた時に同じような思いをしたのだろう。俺はリリーに近づくと、無言で頭を撫でた。リリーは抵抗せず、撫でられていた。
「忘れろ……なんて言わないから、二人で乗り越えていこいうね」
「……はい。 ありがとうございます、ミラト様」
リリーとの和やかな空気が生まれた。その時だった。
「父様! 母様!」
「キユリちゃん?!」
「大丈夫ですかキユリちゃん!」
「うわぁぁぁぁぁあ!」
「大丈夫?! キユリちゃん!」
「はぁ……はぁ……あ、あれ……ここは……」
キユリは涙を流しながら瞳を僅かに開いた。
「大丈夫です、大丈夫ですからね……」
眠っていたキユリは、突然泣きながら父親と母親のことを呼び出した。その後、起きたキユリをリリーがまるで母のような優しさで抱きしめている。
「あれ……炎は? 崩れた壁や柱は……?」
「大丈夫だよキユリちゃん。 ここには炎もないし、焼き崩れた建物もない」
「大丈夫ですよ。 安心して平気ですよ」
「父様は……母様は……」
「それは、わからない……」
「父様……母様……会いたいよぉ……」
そういって、キユリは力尽きたようにまた眠ってしまった。
「寝ちゃったね……」
「きっと、火事か何かでご家族を失ったんですかね」
「おそらくね」
「私と、同じですね……」
「リリー……」
「きっと一人で抱えて、話せなくて、泣きたいのに泣けなくて……」
そういうリリーはきっと昔のことを思い出しているだろう。リリーは優しい手つきでキユリを撫でている。無言のまま時は流れて行き、十数分後にキユリは目を覚ました。
「あれ……私、眠っちゃって……」
「おはよう、キユリちゃん」
「おはようございます」
「す、すみません。 勝手に眠ちゃって……」
「ううん、少しは休めた?」
「あ、はい。 あ、ありがとうございました」
そういってキユリは頭を下げた。俺はキユリの頭を撫でると、温かい紅茶の入ったカップを手渡した。
「休めたなら良かったよ。 これ、良かったら飲んで」
「え、えっと」
「同級生からもらったケイデェン産の紅茶だから、味は保証するよ」
「そ、そのですね……」
「あれ、紅茶は苦手?」
「い、いえそうではなくてですね……」
「じゃあ問題ないね」
俺は半ば無理やりキユリに手渡した。申し訳なさそうにもらったキユリは紅茶をちびちびと飲みだした。俺はそんな様子のキユリに話しかけた。
「キユリちゃん」
「あ、えっと……」
「あ、無理して返事しなくてもいいよ」
俺は一口紅茶を飲んだ後につぶやくように話しかけた。
「何があったかはわからないし、無責任なことは言えない。でも、もしよかったら俺たちがこの街にいる間だけでも俺たちを頼ってほしい。 かなら君の力になるよ」
「で、でもそこまでして頂くわけには……それに、お礼できるようなものもないですし」
「良いのいいの。 だってただの自己満の偽善だからさ」
「そ、それでも……」
「紅茶、冷めちゃうよ」
俺はそういって紅茶を飲み、話を少し強引に終わらせた。