不思議な少女
「大丈夫だった?」
俺は抱き抱えていた少女を地に下ろした。少女は少しふらついた後、お辞儀をした。
「あ、ありがとうございます……」
少女は恐らく14歳ほどだろうか。背丈は144ほどで、髪は短髪の黒髪ショートの外はねだ。瞳は鮮やかな桃色をしている。服装は白いワンピースなのだが、何日も経っているのか所々汚れている。そして小さな花を大事そうに握っている。
「君、名前は? どうしてここにいるの?」
「あ、えっと……」
「あぁ、ごめんね。 無理して答えなくていいからね」
俺はその少女にコップに水を注いで渡した。その水をコクコクといった様子で少女は飲んだ。
「どう? 落ち着いた?」
「は、はい。 すみません……」
「いいよ気にしないで」
「あ、あの私は」
少女は少し詰まった後に名前を答えた。
「わ、私は……キユリといいます」
「キユリちゃん、か。 それでどうしてここに居るの? 他の人はいないの?」
「そ、その……」
キユリと名乗った少女は俯いて言葉を詰まらせていた。何かいいたくなさげだ。
「じゃあいいや。 言わなくて」
「……え?」
キユリと名乗った少女が何か言おうとしたタイミングで俺は、何も聞かない旨を伝えた。
「だってこんなところに一人でいるってことは、何かあったって事でしょ? 辛かったよね。 よく頑張ったね」
俺はキユリの頭を撫でながらそんなことを言った。
「別に無理に言わせたいわけじゃ無いからね。 それよりも、お腹空いてない?」
「あ。その、えっと……はい……」
「じゃあちょっと早いけど休憩にしようか。 リリー」
「わかりました。 では周りを見てきますね」
「うんお願い」
「これぐらい任せてください」
リリーはそう言うと、武器を抜いて周りの魔物を倒しに行った。俺はその間に休憩する用意を始めた。
「ちょっと待っててね、キユリちゃん」
「え、あ……はい」
俺は鏡の世界から絨毯を取り出し、床に敷いた。その上に小さな机を一つおき、絨毯の四方に魔除の結界の魔法道具を置いた。すると、置いてすぐに結界が貼られ、結界内部の空気が浄化された。
ちなみにこの魔法道具はとある神器を参考に生み出されたものだったりする。神器と呼ぶには程遠いが、普段使いするには十分すぎる性能をしている。
「手軽に食べらて消化にいいものだと……果実かな? でもあまり胃は膨れないしなぁ」
「あ、あの……何を?」
「あ、キユリちゃんもこっちおいで。 あ、靴は脱いでね」
「えっとあの……」
「ほら早く早く」
「あ、じゃあ……し、失礼します」
俺が誘うときゆりは申し訳なさそうに靴を脱ぎ、絨毯の上に乗った。
「ほぉわぁ……懐かしいなぁ……」
どうやら絨毯に感動しているようだ。懐かしいってどういう事だろうか。まぁいいや。とりあえずなんかぱぱっと作るか。
「もうちょっとだけ待っててね」
俺は鏡の世界から薄くスライスした果実とパンを取り出し、最近買った生クリームを使ってフルーツサンドイッチを作った。ちょうどそのタイミングで、リリーが帰ってきた。手には十個程の魔石を持っている。
「ただいま戻りました」
「おかえり」
「大丈夫? 怖く無かった?」
「ちょ、ちょっとだけ……」
「そっかそっか。 ありがとね」
「い、いえこれぐらい」
「じゃあ休憩しようか」
俺は机の上にフルーツサンドイッチの乗ったお皿を置いた。そしてその横には紅茶を淹れて横に置いた。
「じゃあ食べようか」
「ですね」
「あ、あの……」
「ほら、キユリちゃんも食べて食べて」
「え、でもその」
「ほら、食べましょ」
「い、いただきます……」
キユリは自分の目の前に置かれたフルーツサンドを恐る恐る一口食べた。
「んん!!」
どうやら好みの味だったようで、一口食べた後は一心不乱にバクバクと食べた。見てるこっちが喉を詰まらせないかハラハラしそうな勢いだ。
「あ、ありがとうございます。 ご、ご馳走様でした」
数分もしないうちにキユリは完食していた。そしてキユリは、胃が膨れたからなのか、緊張がほぐれたかのかすごくウトウトしだした。
「リリー」
「はい」
「キユリちゃんのこと見てもらっていいかな」
「はい、お任せください」
俺たちがヒソヒソとそんな話をしていると、キユリは丸まりながらすやすやと眠ってしまった。俺は鏡の世界から小さな毛布を取り出し、眠っているキユリの上に優しく掛けた。
サラッと生クリーム出しちゃったけど違和感覚えた方いますか?その場合感想でおしえていただけると訂正します