通行証
お久しぶりです
「じゃあまずは通行証の発行しに行こうか」
「はい!」
俺たちは空いている受付をみつけて、そこに向かっていった。
「こんにちは。 ご用件は何ですか?」
「通行証の発行を二枚お願いします」
「通行証の発行ですね。 少々お待ちください」
ギルドの職員は奥に行くと、すぐに奥から二枚のカードを持ってきた。
「お待たせしました。 ではこちらのカードに血液を一滴垂らしていただけますか?」
「わかりました」
俺とリリーは職員から渡されたカードに血液を一滴たらした。するとその瞬間カードは先ほどとは打って変わって色鮮やかになった。
「これでお二人の登録が終わりました。 これ通行証があれば迷宮の中に入ることもできます」
「もしこのカードを無くしたり、盗まれた場合は?」
「その場合は速やかに受付まで申してください。 新しい通行証を発行いたします。 新しい通行証が発行されると自動的に古い通行証は使えなくなりますのでご安心ください」
「ありがとうございます」
「またのご利用お待ちしています」
俺たちは受付から離れた後、少し歩いて人が少ないところでリリーと話し出した。
「これで迷宮に入れるみたいだな」
「このカード便利ですね」
「だな。 それでリリー」
「はい」
「今から少しだけ迷宮の中に行ってみようと思うんだがどう思う?」
「私も行きたいです!」
「じゃあ決まりだな」
俺たちは迷宮に入るための列の最後尾に並んだ。特に何の問題もなくすらすらと列は進んでいき、十分後には俺たちの番になった。
「次、どうぞー」
俺たちは扉を開けて中に入った。その中には大きな下へと続く階段と、その階段に蓋をするように結界が張られていた。そしてその近くに人が一人入れそうなほどの大きさの簡易的な受付があり、そこにヒューマンの青年がいた。
「はいじゃあ通行証を出して」
「わかりました」
受付にいた職員は通行証を受け取るとペンのようなもので通行証に触れた。
「あれ、二人とも初めて?」
「そんなことわかるんですか?」
「あぁ。 この魔法道具は通行証と連動するようにできていてな、通行証に触れるとその人の迷宮到達階層が見れるんだ」
「そうなんですね」
「二人は始めてみたいだから軽く説明しようか」
「お願いします」
「といっても特に難しいことは無いよ。 初めての人は通行証と、あるならギルドカードを見せてくれ。 次からは通行証だけで通れるから」
「なんでギルドカードを?」
「まぁ階級の把握ってとこかな。 だからって何かするわけでもないけど。 あと、階級が上がった場合、上がった後に最初に訪れたときにもギルドカードを見せてくれ」
「わかりました」
まず最初にギルドカードを出したのはリリーだ。
「な?! 嘘だろ階級SS?!」
受付の人は信じられないものを見たような反応をしていた。俺はそんな反応を見て、いやな予感を覚えながら自分のギルドカードをだした。
「おいおい嘘だろオリハルコン製ってこたぁ……もしかして……」
受付は俺のギルドカードを見た瞬間、卒倒した。
「あの、大丈夫ですか?」
幸いにも受付の青年は数十秒で意識を取り戻した。
「はぁはぁ……すまない。 あんたら二人なら特にいうことは無いや。 精々気を付けてくれ」
「ありがとう」
「いや、こっちこそ迷惑をかけたな」
俺たちは受付の人と握手をした後、階段を下りて行った。