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銀狼の少女

本日二話目です。

 街道を歩き始めてそろそろ二時間がたち始めた。

「さてと、まだまだ先だな」


 と、少し道端にある岩のところで、一休みしている。


「にしても、街道もきれいに整備されているんだな。イーリスとは大違いだな」

 と、地面を足でトントンとしていると、奥の方で、


「わ、わああああぁぁぁぁああ!」

 と、叫び声が聞こえた。俺はすぐに声のした方へと走り出した。


 声のした方は街道からそれた小道のような方から聞こえてきた。

 馬車がぎりぎり一台通れるかどうかの細さの道を駆け抜けていくと、水辺に出た。そこには一台の馬車と三人の男性たちがいた。そのうちの二人は恐らく冒険者であり、襲ってきたと思われる魔物と、対峙していた。

 魔物は水辺に多くあらわれるリザードマン二匹と上位種のリザードマンソルジャーがいた。

 リザードマンはそこまで強くはないが上位種のリザードマンソルジャーは、狡猾で剣の扱いもリザードマンより格段にうまくなっているため危険度はかなり跳ね上がる。


 念のために俺は声をかけた。

「おい! そこの二人! 助けはいるか?!」

「あぁ、頼む!」

 と、即答されたので俺はリザードマンソルジャーの方へと向かった。


「こっちは俺がする!」

「すまねぇ! 感謝する!」

 と、片手剣を使っている方の男から帰ってきた。


「さてと……確かたくさんの武器があったはずだし、何か使ってみるかな」

 と、メシアさんのコレクションの中からとりあえず片手剣をとり出した。


「ん? なんだこれ?」

 片手剣を出したと思っていたが抜いてみると形が違う。

 片手剣より湾曲しているのにサーベルほど湾曲はしていない。


「えっと? なになに~」

【映し鏡】で確認したところ、どうやらはるか東の島国、【ヒモト島国(とうこく)】と、いうところで作られる()と、いうものらしい。


「刀……か。銘は、【雪月花】と、言うのか。確かにぴったりだ」

 すらりとしたその抜き身はまるで雪のように白い。見とれてしまうほどに。


「シャアアアアァァァァァアア!」

 と、俺が雪月花に見とれていると、

 耐え切れなくなったのかリザードマンソルジャーが斬りかかってきた。


「あ、忘れてた」

 俺は刀を使ったスキルがないか記憶の鏡(メモリーミラー)を確認すると、あった。


「ほんとに……どんだけあるんだよ。あの人」


 とりあえず俺はそのスキルのうちの一つの【一閃】を、放った。刀のスキル、刀術の基本技らしいが武器の性能もあってか、何の抵抗もなく、リザードマンソルジャーの首は斬れた。


 カチン……

 心地に良い音を出しながら刀をしまうと、あちらもちょうど終わったようだ。


「助かった! あんた、本当にありがとう!」

 と、冒険者たちは近寄ると声をかけてきた。


「俺はホルフ。こっちは弟のエリオスだ。どちらも階級はCだ」

「無事で何よりだ。俺はミラト。通りすがりの旅人だ」


 と、鏡魔術師だと明かすわけにはいかないので、あやふやにしといた。


 すると、馬車の方から一人の青年がやってきた。とてもすました顔をしているが心の内が読めない。そんな感じの雰囲気を感じる。


「初めまして、私はディエナ商会のディエナと、申します。この度は危ないところを助けていただき、感謝しております」

「いえ、お気になさらず」


 ディエナ商会は、今商会の中で一、二位を争う大商会である。また、ネイシスの王都に本店を構えていることでも有名だ。


「ところで、ディエナ殿。あちらの馬車は何を運んでいるのですか?」

「ディエナで構いません。あちらはあまりいい印象を持たれないと思いますが身売りになった者たち、いわゆる奴隷を運んでいます」


 奴隷か。確かに人によってはいい印象を持たないが、俺は一攫千金を夢見て、借金をしたが、返せずに奴隷になる冒険者を見てきたので特に嫌悪感はない。


「よろしければ見ていきますか?」

 と、声をかけられた。そろそろ一人旅も飽きてきたし、奴隷なら情報がもれる恐れも少ないのでちょうどいいかもしれない。そう思い、見せてもらうことにした。


 馬車の中には四、五人ほどしかいなかったが、どの子もそれなりな顔立ちをしていた。がりがりにやせ細っているとかはなさそうだ。


 そして、ふと俺の目に留まった子がいた。

「ディエナさん、あの獣人の子は?」

「あの子は銀狼族のリリーシャですね。顔立ちも非常によく体つきも申し分ないでしょう。また、戦闘もできる、いわゆる今回の目玉ですね」

 と、語った。


 確かに美しい顔立ちにいい感じに引き締まった体。確かに目玉となるあろうが俺が目に付けたのはそこではない。【映し鏡】でステータスを見ると称号のところに【銀姫】と、書いてあった。銀姫は固有魔法であり、葬り去られた魔法(ロストマジック)の【白銀魔法】が使える。これはなかなか興味深い。


「銀狼族のリリーシャ。一体いくらだ?」

 彼女はいい。まさに逸材だ。


「そうですね。本来なら白金貨八枚は最低限すると考えられますが、これも何かのご縁です。白金貨一枚といたします」

「いいのか?! ほんとに?!」

「えぇ、私も彼女にはいい人に買っていただきたかったですし、今後もあなたとの縁がつながると考えると、十分に元が取れるかと。先行投資ってやつです」


 こいつ、手慣れてる。安くするから贔屓してねってことか。まあでも悪い取引ではないか。


「わかった。それで買おう」

 俺は白金貨を渡しながら言った。

リリーシャ

銀狼族で称号【銀姫】を、持つ。

それにより、白銀魔法を使える。

背丈は165ほどで胸はEぐらい

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