寄り道
皆さんお久しぶりです。大学受験も、期末も終わりある程度落ち着いたため、本日からまた更新を再開していきます!ちなみに大学は合格できました!
それと、作品内で過去に宗教や教国について書いた気がするのですが、どこか忘れてしまったのでもし見つけた場合はお手数ですがコメントしてくださると助かります。
俺たちはマーレンから馬車などを使い、迷宮都市ラービスを目指した。約七日程度で、ラービスの近くの乗り合い所まで来れた。せっかくなのでそこからは歩いていくことにした。
「リリーはラービス初めて?」
「はい、そうなんです」
「実をいうと俺も初めてなんだよね」
「そうなんですか?」
「うん。 リリーと出会う前はイーリスで活動していたからね」
「そういえば移転届を出されていましたね」
「そうそう。 ちなみに鏡の部屋はイーリスにあるんだよ?」
「そうなんですか?!」
「【跳ね返りの神殿】って知ってる?」
「有名な最難関ダンジョンの一つですよね?」
「そう。 そのダンジョンの隠し部屋的な感じであるんだよ」
「ダンジョン内にあることは理解してましたが……」
「ほんと、ぶっ飛んでるよねメシアさん」
「ふふっ、確かにそうですね」
俺たちがそんな話をしていると、遠くから戦闘音が聞こえた。戦闘音は目の前の枝分かれしている道の方から聞こえてきた。
「ごめんリリー」
「謝らないでください。 だって私も同じ考えですから」
「そっか、ありがとう」
俺たちは頷きあうと、戦闘音のしている方へ走り出した。
走り出してから十分ほどした。聞こえてくる戦闘音が先ほどより明らかに大きくなっているのでもう少しだろう。
「リリー! もう少しでつくっぽい!」
「分かりました!」
それから五分ほど走ると、戦闘音の正体が見えてきた。どうやら一台の馬車がゴブリンたちの大群に襲われているようだ。ちらほらと上位種も見えるのでそれなりの大きさの群れだろう。その群れと戦闘している護衛と思わしき人たちの声が聞こえてきた。
「リースさんとルベシュさんは目の前の対処をお願いします。 私は遠方を対処します!」
「わかり、ましたっ!」
「は、はい!」
「お辛いでしょうがどうにかお耐えください! 傷ついた方たちはお互いに治療しあってください!」
「す、すみません」
「お気になさらず!」
「にしても、数が多すぎる……」
「確かに多いですね……ですが。、何があってもこの馬車をお守りするのです!」
「はい!」
「了解、ですっ!」
護衛の人たちが何とか持ちこたえていたが、そのうちの一人が物量に押されてその場で転倒してしまった。
「しまっ……」
「グギャギャギャギャギャ!」
「まずい?!くっ、間に……合え!」
俺は深く踏み込んだ後大きく跳躍し、腰から雪月花を抜き、そのまま雪月花をゴブリン目掛けて投げつけた。
「グギャ!」
「な、なんだ?!」
目の前のゴブリンの頭を剣が貫通していき、息絶えたことに護衛の人は驚いていた。俺は雪月花の近くに着地して、雪月花を回収しながら声をかけた。
「加勢します!」
「ありがとうございます!」
俺の声掛けに先ほどから指示を飛ばしていた人が反応した。それから俺と、少し遅れて合流したリリーは護衛の人たちと協力してゴブリンの大群を一時間ほどで全滅させた。
戦闘が終わると、指示を出していた人がやってきた。さっきまで戦闘中でしっかりと確認ができていなかったが、この人だけほかの護衛の人たちと服装が違った。具体的には彼だけ礼服なのだ。それもおそらくかなり位の高いものが着るような、派手ではないが凝っている礼服だ。
「ご助力感謝いたします、鏡魔術師様とそのお連れの方」
「俺のこと、知ってるんですか?」
「それはもちろん。 教会の中でも話題になっております故」
「教会?」
「申し遅れました。 私は生終天魔教にて司教の地位についております【無眼】のアレスと申します」
そういいながら軽く会釈してきたアレスは灰色の短髪ストレートに、目元を布のようなもので覆い隠していた。さらに背は155ほどで、かなり小柄だ。
「これは丁寧に。 知っているとは思いますが俺は鏡魔術師のミラトです。 そしてこっちが」
「ミラト様の婚約者のリリーシャと申します」
「ミラト様にリリーシャ様、重ねてにはなりますが、この度はご助力していただき大変感謝しております」
「それはいいのですが、あの馬車はそんなに大事なんですか?」
「はい。 あの馬車には教会の最重要人物であるお方が乗られていますので」
「そうなんですね。 その方にお怪我とかは……」
「幸いなことにありません。 本当にお二方のおかげです」
そういいながらアレスは何度も深々とお辞儀をしていた。
「それにしても、アレスさんたちはどちらにお向かいで?」
「私たちは、この道を道なりに行った先にある聖教国に向かっている最中でしたのです」
「そうでしたか」
「ミラト様はどちらに行かれるのか聞いても?」
「俺たちはラービスに向かおうと」
「左様でしたか。 では名残惜しいですがここでお別れとなりますね」
「そうですね」
「ぜひ聖教国に訪れた際には教会にお立ち寄りください。 本日のお礼もかねておもてなしさせていただきます」
「えぇ、その時にはぜひ」
「では支度も済んだようなので、こちらで失礼いたします」
そして俺たちはアレスさん一行と別れて、元の道に戻って行った。
人物紹介
【無眼】のアレス
五感司教のうちの一人。無眼の通り視力を失っている。本名は司教になった際に捨て去っている。
155ほどの背丈に灰色の短髪ストレートで、アイマスクに似た布のようなもので目元を隠している。
白を基調とした教会指定の礼服に白手袋など礼服の標準的な服装に加えて司教になったと気に授与される片マントを左側に着用している。
継承魔法により視力を失う代わりに特殊な音波を体から発することで物の形を正確に把握することができる。
とにかく礼節を重んじており、人格者。
教会の前に魔映るべからず。の理念のもとに行動しており、教会に仇をなすものには容赦はしない。