海の中2
あとがきにてお知らせと宣伝がいくつかあります
「ふぅ……」
「リリー、初めての海の中はどうだった?」
「すごく……すごく、きれいでした!」
「そっか。 ならよかった」
「はい。 母と父にも……見せてあげたかったです」
そういうリリーは少し切なそうな顔をしていた。
「リリー」
「はい?」
「もう一回潜るよ。 今度は泳いでみよっか」
俺はそんなリリーの手を引いて、もう一度潜った。リリーも一度潜って慣れたらしく、今回は普通に潜れていた。
〔リリー、大丈夫?〕
〔はい、問題ないです!〕
〔よし、じゃあ行こうか〕
〔楽しみです!〕
魔法道具を介して聞こえるリリーの声と両手でガッツポーズをしている様子から、本当に楽しみにしているんだろうということが伝わった。俺はそんなリリーの手を引いて、海の中を泳ぎだした。
〔すごいきれいですね……〕
〔そうだね〕
俺たちはゆっくりと海の中を泳いでいる。そんな俺たちの横を魚たちが通り過ぎていく様子を見て、リリーはそんなことを言った。
〔もう少し深くまで潜ってみようか〕
〔はい!〕
俺たちは一度水面まで戻り大きく息を吸い、より深くまで潜りだした。そこのは、先ほど泳いでいたところとはまた少し変わって、ゴツゴツとした岩場や、そこに隠れている魚、岩にくっついている貝などの姿があった。先ほどとはまた違った景色に、リリーは目を輝かせている。
〔面白い?〕
〔はい! 世界ってこんなに広いんですね!〕
〔ハハハ……まだまだ世界は広いよリリー〕
〔た、確かに……?!〕
〔一緒に、見て回ろうねリリー。 ついてきてくれる?〕
〔もちろんです、ミラト様。 どこまでもお供します!〕
〔……ありがとう、リリー。 じゃあ、そろそろ戻ろうか〕
〔わかりました〕
俺はリリーの手を引いて海面まで戻り、そのまま浜辺まで上がった。ちょうど日も高くなり、昼食時だ。
「リリー、昼食を作るからお風呂入ってきなよ。髪や毛が痛んじゃうからね」
「分かりました」
リリーが家に入ったのを見た俺は、沖の方に近づいて行った。すると、その瞬間に海の奥深くから大きな気配と魔力と共に黒い影が浮かび上がってきた。
「グシァァァァァァァァァァァァアア!」
「まさか海竜がいたとはね……リリーといるときにあらわれなくて本当によかったよ」
初めての海の思い出を血なまぐさいもののはしたくなかったからね。
「ということで、悪いけど……」
俺は鏡の世界にしまってあった雪月花を取り出し、海竜の伸びた長い首を一撃で切り落とした。海竜は断末魔を上げる間もなく息絶えた。
「さてと……昼食の用意しなくちゃな」
俺は雪月花と一緒に海竜の亡骸を鏡の世界にしまって、家の中に入った。
あれから特に問題なく俺たちは海を満喫し、気づけばもう帰る時間となっていた。俺たちは行きに利用した船着き場に行くと、既に行きと同じ総舵手の人が手を振って俺たちを呼んでいた。
「どうでしたか?」
「とてもいい思い出ができました」
「ありがとうございます」
「ならよかったっす! じゃあ動くっすよ」
俺たちは船に乗り、二泊三日の最高の思い出に、幕を閉じた。
「いかがでしたか?」
「とてもよかったよ。 またいつか来たいものだ」
「それは大変良かった。 我ら泡沫の一同はいつでも歓迎いたしますよ」
「ありがとう。 ではまたいつか」
「はい、またいつか」
俺たちは泡沫に戻った後、手続きを終えて店を出た。その後、ギルドに立ち寄り、この町を発つことを伝えた。
「ミラト様、この後はどうするんですか?」
「この後はあそこに行こうと思ってるよ」
「あそことは?」
俺の言っていることがわからず首をかしげるリリーに、いたずらっ子のような笑みを浮かべながら俺は答えた。
「リリーも知ってるはずだよ。 冒険者の憧れの街さ」
「?! もしかして、あの街ですか?!」
「そう! 迷宮都市ラービス。 そこに行こう!」
まずお知らせです。半ば無理やりになりますが、長期休暇編の臨海都市マーレン編は終わりとなります。そして次の話はおまけ話はなく、そのまま迷宮都市ラービス編になります。
そして次が本命となります。
もう一つの作品をご覧の肩はすでにご存じとは思いますが改めてこの場を借りて言わせていただきます。
完全に私事ではありますが、十一月は今後更新は不可となります。理由といたしましては大学受験と、その後に期末試験が控えているからです。なので、十一月は更新がしたくてもできない状態になります。大変申し訳ございません。
そこで、宣伝にはなりますが、私には弟弟子がおりまして、代わりと言ってはあれですが更新が停止している間だけでも、彼の作品を読んでくださるとうれしいです。
名前:単細胞(敬称略)
作品名:ユグドラシル転生記〜創られた歴史の中で劣等精神の俺は〜
URL:https://ncode.syosetu.com/n5968hg/
もしお読みになってくださった方は、コメントで私の作品から飛んできましたと一言コメントしてくださると、彼も喜ぶと思います!
以上宣伝とお知らせでした。