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かれー

今回あとがきにお知らせがあります

 昼食を食べ終えた後にもう一度海で遊びなおした俺たちは、家の中に入って寛いでいた。ある程度寛いだところで俺は調理場に向かい、夕食の支度をしている。丁寧なことに夕食分の食材や調理の仕方などが用意されており、その調理法の書かれた紙に従ってトントンと、一定のリズムで食材を切っている。食材を切りながら俺は、近くで寛いでいるリリーに声をかけた。


「リリー。 夕食ができるまでもう少しかかるから先にミロとお風呂に行ってきてもらってもいいかな?」

「分かりました。 ミロちゃん、行きましょ」

「キュ」


 リリーは俺の頭の上に乗っていたミロを呼び寄せると、方に乗せながらお風呂に向かっていた。その様子をチラッと見た俺は、目の前の調理途中の食材に再度目を向ける。俺の視線の先には、一口大に切られた野菜に貝などがある。そして何より目を引くのはその近くにあるきつね色をした四角型の固形物があった。


「えぇっと、野菜などを煮込み、柔らかくなったところでこのかれーるーとやらを入れてから再度ひと煮立ちさせると」


 俺は今かれーなるものを作っている。なんでも異世界人の一人が広めたとされる料理だそうだ。異世界人の世界では広く知られた料理だったらしいが、こちらの世界では似たようなものを再現するには膨大な手間がかかるらしく、高級料理の一つとなっている。


「にしても、スパイスとかを全部まとめて固形にして、それを入れるだけで誰でも同じようなものが作れるなんて、異世界の技術と考えには本当に驚かされるな……」


 俺はかれーるーを一つ持ちながらそんなことを呟いた。そんなことを考えていると、野菜がいい感じに煮込めた。


「お、そろそろいいかな。 じゃあこのかれーるーを入れてっと」


 かれーるーを入れた後に貝などを入れてかき混ぜた。するとかれーるーは簡単に溶け出し、ツンとしたスパイスの独特な香りと、その香りと同じくらい強烈な凝縮された旨味の匂いが広がりだした。


「おぉ……これは、すごいな……」


 その匂いを嗅いだ俺はあまりの匂いに感嘆の声が漏れる。鍋の中身をかき混ぜながら俺は何とかこれを作れないか考え出した。


「お、できたみたいだな」


 香りを頼りにどんなスパイスが使われているのか考えていると、かれーが出来上がった。俺はかれーを小さな味見用の皿に入れると、それを口にした。


「ハハッ……これは何とも……」


 一口かれーを口にした俺は、匂いを嗅いだ時以上に感嘆した。


「いやはや……異世界人は本当にすごいな。 これはいづれ、ヒモト島国には訪れないとな」


 異世界人が建国に携わり、異世界人の持ち込んだ文化を色濃く受け継ぐ島国、ヒモト島国に俺は今まで以上に興味がわいた。いつ行こうかとかを考えていると、リリーとミロがやってきた。


「戻りましたミラト様」

「キュ~」

「お、ちょうどよかった。 夕食もついさっきできたところだよ」

「分かりました」


 俺は皿にかれーを盛り、一緒に用意されていたパンをいくつかバケットに入れて、リリーの前に置いた。お皿を置かれたリリーは初めて見た料理に困惑していた。


「あの、ミラト様。 これは一体?」

「これは異世界人が持ち込んだ料理の一つで、()()()()()()()()というらしい」

「そうなんですね」


 俺は自分の分とミロの分を用意した後、席について食べだした。俺が食べだすと同時にリリーも食べだした。


「ん?!」

「どうしたリリー?」

「いえ、ちょっと辛くてびっくりしちゃっただけです。 でも、すごくおいしいです」

「ミロは……そんなにがつがつと食べてるなら聞くまでもないか」

「キュ~キュ~」


 俺たちはお腹いっぱいになるまでかれーを満喫した。

お知らせ

本作品がありがたいことに50万PVを迎えれたので、その記念短編【私が紅に染まるまで】を投稿しました! 本作品との接点は皆無ですが、もし興味があればぜひご覧ください!

URLはこちら:https://ncode.syosetu.com/n1418hv/


また、本編ではあえてかれーなどといったようなひらがな表記にしてあります。なぜかというと、刀や島国(とうこく)といった呼び方のように、世間一般的にはあまり知られていないためという設定のためです。どうかご理解ください。もしどこかおかしい点があれば、ぜひコメント等してください

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