新たな門出
二章スタートです!
「よいしょ。う~ん、ようやくついたな」
と、船から降りた俺は軽く体を伸ばした。凝り固まったからだがほぐされていく。
ここは【大国 ネイシス】の最南端の港町、【ダツミの街】である。
【イーリス王国】から船で約二日ほどかかった。
「さてと、まずは腹ごしらえでもするかな」
俺は港町の中を散策していた。宿などは鏡の部屋に行けば問題ないのでかなり気楽に散策できる。
「お、この店からとてもいいにおいがするな」
と、一つの店に立ち寄った。そこは【ウェルエ亭】と、言うらしい。
昼時が近いのか客はかなり店の中にいた。
俺は適当な席に座ると、店員に注文をした。
「すみません、注文をお願いします」
「は~い。少し待ってくださいね!」
そして少しして十六歳ほどの背丈の女性が来た。港町にも関わらず、白い肌はしっかりと日焼け対策をしていることがわかる。
「お待たせしました。それで注文は?」
「そうだなぁ、おすすめは何かありますか?」
「おすすめねぇ~。無難に魚介スープと塩焼きとかどう?」
「じゃあそれで」
「はーい。少し待っててね~」
というと彼女は厨房のある方へと向かっていった。
さて、何が来るのか楽しみだ。
数十分後、先ほどの彼女がお盆に乗せてやってきた。
「はい! ダシウオを使った魚介スープにヒカリウオの塩焼きだよ~」
と、言いながら透き通るような魚介スープに、香ばしいにおいのする小ぶりの魚が俺の前の置かれた。
「あぁ、ありがとう」
俺はお礼を言うと早速食べることにした。
「まずはスープからかな」
と、ダシウオを使ったスープを一口飲みだした。ダシウオは不思議な魚で、煮ても焼いてもおいしくならない魚だが、出汁をとるとさっぱりとしていながら、深みのある出汁が取れる魚である。
「……うまいな」
と、つい漏らしてしまうほどだ。具は何もないのだが、それでも満足できる味だった。
「次は塩焼きだな」
と、フォークと、ナイフで魚を切ると、美しい白身に油がいい具合に乗っている。
この魚は焼くことで中にある油がきらきらと透き通りながら、薄く身に絡みつく、これまた不思議な魚となっている。その状態の身が光っているように見えるためヒカリウオと呼ばれている。
「……塩加減もよく、また、生焼けでもない」
味付けはシンプルに塩だけだがその塩がより一層、この魚の油の甘さを引き立ててくれる。
油もくどくなくすっと、鼻を抜けていく香りもよりこの魚の魅力を引き立ててくれる。
「この店は当たりだったな」
と、つぶやきながら俺は残りの食事を食べ進めていった。
「うまかったな。また何か用があったら寄りたいな」
店を出た俺はかなり満足していた。階級はSのころからそこそこいいものは食べてきたと思ってきたが、スープも塩焼きもネイシスの方が断然うまかった。
「さてと、それじゃあ王都に向かいますか」
と、俺はご機嫌で街道を歩きだした。
いい料理の案がありません!何か案をくださるとうれしいです!




