貸し切り島
「ここかぁ」
「わぁ、雰囲気あっていいですね!」
「キュ~!」
砂浜のすぐ近くに建てられた二階建てのログハウスがあった。テラスがあり、そこからもキラキラと光を反射しているエメラルドグリーンの海が見えている。
「海に行く前にまずは荷物おこうか」
「はい!」
俺たちは荷物をログハウスに置き、海に向かう支度をした。
「リリー、先に行くよ」
「あ、はい!」
俺はパラソルやサマーベッド、テーブルや飲み物などを持って浜辺に行った。
「いやぁ、いい天気だなぁ」
俺は荷物を置いた後、右手で日差しを遮りながら海のほうを見た。海はテラスで見たときから変わらずキラキラと輝いている。まるで宝石のようだ。
「キュ~」
「お、ミロも来たのか」
「キュ~!」
「頭の上に乗るのか?」
「キュ!」
「いいけど……多分熱いぞ?」
「キュ? キュ~?!」
「ハハ、だから言ったろ?」
「キュ~……」
いつものように俺の頭の上に乗ったミロだが、俺の頭の上が思ったより熱かったようで悲鳴を上げながら飛び退いていた。その後ミロは妥協したように、俺の右肩に乗った。
「あ、あの……お待たせ、しました」
俺がサマーベッドでミロと遊んでいると、後ろからリリーが声をかけてきた。俺は後ろを振り返ってリリーの姿を見て、思わず息をのんだ。
「お、おかしく無いですか?」
「いや、そんなことないよ……すごく、かわいいよ」
「あ、ありがとうございます……その、ミラト様も素敵です」
「あ、ありがと」
リリーの水着は、派手な装飾品のない白の生地で、腰に布を巻くタイプのパレオと呼ばれるタイプの水着だ。派手じゃないからこそ、リリーの魅力がより強調されている。
「に、にしても暑いですね」
リリーは恥ずかしさからか、あからさまに話の話題を変えてきた。俺はその話題が出たときに先日買っていたものを思い出した。
「あ、そうだリリー」
「なんですか?」
俺は鏡の世界から、先日買った一つのハットを取り出した。それを俺は、リリーの頭の上にかぶせた。
「うん、よく似合ってる」
「あ、あの……これは?」
「似合うかと思って買ったんだけど、よく似合っているよ」
「そ、そうではなくてですね……」
「ただのプレゼントだよ」
リリーがハットを脱ぎながら何か言おうとしていたので、人差し指でリリーの唇をふさぎながらそう言った。リリーは顔を赤くしながら、コクコクと頷いた。それを見た俺は人差し指をリリーの唇から離した。リリーは再びハットを被ると、満面の笑みを浮かべていた。
「ミラト様、ありがとうございます!」
「どういたしまして。 じゃあさっそく海に行こうか」
「はい!」
「キュキュ~!」
「分かってるよミロ」
「キュ~?」
「フフ、ミロちゃんも一緒に行きましょ」
「キュ~!」
ミロの鳴き声とともに、俺たちはエメラルドグリーンの海に向かって歩いて行った。
本編で出てきた水着リリーは、ツイッターにてご覧いただけます。興味ある方は
@naroukyouka
まで