船の上
もう少し甘々なところ続きます。書きたかったのでもう少しだけお付き合いください
次の日の朝、俺たちは再び泡沫の前にいた。泡沫の扉の前には、すでにリンヴェルさんがいた。
「おはようございますリンヴェルさん」
「おはようございます」
「おはようございますミラト様にリリーシャ様。 ご機嫌いかがですかな?」
「絶好調さ」
「それはよかった」
「にしても、雲一つない良い天気だな。 今日は」
「えぇ、絶好の海日和ですな」
「その貸し切りビーチ、及び島にはいつ行くんだ?」
「そうでした。 では、今から案内しますので、私についてきてくだされ」
そういってリンヴェルさんは泡沫の建物の裏の道を黙々と進んでいった。俺とリリーはその後をついていき、その数分後には複数の小舟の止まった小さな港があった。
「こちらのこの船にお乗りくださいませ。 あとはこの船を運転してくれる方にお任せしますので」
「よろしくお願いします!」
「こちらこそお願いします。 それと、リンヴェルさんもありがとうございます」
「よい数日をお過ごしください、ミラト様にリリー様」
そういってリンヴェルさんは泡沫のほうに戻って行った。それを見た俺とリリーは、先ほど説明された船に乗り込み、それを見た総舵手の人は、船を動かしだした。
船が島に着くまでの数分、俺は総舵手の人と雑談していた。
「お兄さんたち、運がいいっすね!」
「それリンヴェルさんにも言われましたよ」
「ありがたいことに、うちはこの時期は常に王族様や貴族様、高位の冒険者の方々で予約がすぐに埋まっちゃうんすよ」
「らしいですね」
「だからこの時期にキャンセルが出て、そのタイミングで居合わせたなんて相当な豪運を持ってないと不可能っすよ」
「我ながら本当にラッキーだと思うよ。 でも、そのおかげでうちのリリーに最高級の海を見せて上げれる」
「そういえば気になっていたんすけど、その美人さんはお兄さんの奴隷なんすか?」
「元ですよ。 今は俺の大事な人です」
そういうと、リリーシャは顔を赤くしながら尻尾を嬉しそうにブンブンと振り回した。
「なるほど、お熱いんっすね!」
「それはもう。 リリーは最高の女性ですよ」
「羨ましいっすね! あ~あ、俺もいい出会いが欲しいっす!」
「この仕事をしてたら出会いの一つや二つはありそうな気がするんですけど、ないんですか?」
「いやぁ~この仕事をしていると、どうしてもお上品なお方の相手をするんでね、良くも悪くも理想が高くなっちまうんすよ」
と、総舵手の彼は自虐交じりにそう笑いながら、話してくれた。そんな話をしていると、目の前に小さな島群が見えてきた。
「お、そろそろつきますよお兄さん達。 お兄さんたちにお貸しする島は右から二つ目のあの島です」
総舵手の彼が指さした島はすでに俺たちの目前にあった。俺たちはその後、その島に設置された小さな船乗り場に降りた。
「じゃあ俺は三日後に迎えに来ますので、それまで存分にお楽しみください!」
「ここまでありがとうございました!」
総舵手と別れた俺たちは、まずこの島に建てられている家に行くことにした。