談話
今日でなろう投稿二年、ありがとうございます!
「はぁ……はぁ……やっと、解放された……」
「お、お疲れ様って、言っていいんでしょうか……」
「す、すみません、俺たちのせいで……」
「いえいえ、お気になさらないでください」
ギルドの職員がお酒とつまみを持ってきたことで、最初に俺たちに話しかけてきた五人組以外の人たちは俺たちの近くから一旦離れていった。だがなんだか聞き耳をたてられているような気がしてならない。
「慣れるしかないのか」
「どうかしました?」
「ん? いや、何でもないよリリー」
俺は運ばれてきた果実酒を一口飲み、青年たちに話しかけた。
「それで、何が聞きたいんですか?」
「あ、あの、どうやってそんなに強くなったんですか?」
「どうやって……ですか……」
「あ、答えたくないのであれば答えていただなくても……」
「あ、失礼。 そうではなくですね……なんといいましょうか……この力は、譲り受けた物なんですよ」
「譲り受けた物……ですか?」
「そうなんですよ、だからどうやったとかは詳しく話せないのですが……しいて言えば力に溺れないことですかね」
「力に溺れないこと、ですか?」
「そうですね、私たちは冒険者ではない人たちに比べて強い力を持っていますよね?」
「え、えぇそうですね」
「確かにあなたや私の持つ力は強い。 ですがそれは万能じゃない。 過信しすぎると、いつか必ず手痛いしっぺ返しを食らいます」
「はい」
「自分にできること、自分の実力をよく理解してできることに最善を尽くす。 これを私は常に心掛けています」
「ありがとうございます、肝に銘じます!」
「そんな、大したことじゃないですよ」
「ミラト様、いらっしゃいますでしょうか? ギルドマスターがお呼びです!」
青年らにそんなことを話していると、ギルドの職員に名前を呼ばれた。名前を呼ばれた俺は席を立ち、青年らに一言声をかけた。
「すみません、失礼します。 またどこかで会えるといいですね」
「は、はい!」
そして俺とリリーは先ほど話した個室に案内された。
「何やら盛り上がっていたようですね」
「勘弁してくれ……俺は元平民だからああいったことは不慣れなんだよ」
「そうは見えませんでしたけどね」
「ならよかったよ……」
「それで本題なのですが」
「もしかして駄目だったのか?」
「いえ、そうではなく、貸し切りビーチを運営しているご主人が一度お会いしたいと」
「なんだそんなことか」
「それで、こちらにもう少しで来られるようなので」
「分かった、是非待たせていただこう」
「ありがとうございます」
「こちらから頼んだことだから、気にしないでほしい」
あれから十分もしないうちに、一人の男性が個室に現れた。