マーレン支部
もうそろそろこの小説を始めたときの目標、50万pvが目前に近づいてきました。読んでくださる皆さん、本当に感謝しかありません!!
「ついたね」
俺たちの目の前には赤レンガ造りの建物があった。そこには冒険者ギルドマーレン支部と書かれている。
「とりあえずアポは取ってないけどここのギルド長に会えるか確認してみようか」
「そうですね」
「一応ステアさんから事情を書いた手紙ももらったから大丈夫だと思うけど」
俺達はそんな会話をしながらギルドの扉を開けた。ギルドの扉は滑らかにキィと小さく響かせながら俺たちを迎え入れた。ギルドの中は丸いテーブルや椅子、さらにはカウンターなど、標準的な設備が充実している。すでに酒を飲んでいる冒険者がいるのか、かすかに酒の香りが入り口付近まで漂ってくる。
「え~と、受付は……」
俺達が受付を見つけるために辺りを見渡していると、どこからか、ジョッキを片手に持った身長2メートル近くありそうな男が近寄ってきて話しかけてきた。
「やぁやぁにいちゃ~ん、ここはぁ初めてかぁ~?」
「……」
どうやら酔っているようで、足元がふらついている。俺達が無視していると、無視されたことが気に障ったのかさらに近寄って、肩を組んで話しかけてきた。
「無視はひどいぜぇ~なぁ~」
「……どうやら酔っているようですね。 すみませんが私はあなたに用事がないのでお引き取りくださいません?」
「あぁ~? おれはぁ階級Bのベテランだぞぉ~? 無視すんのかぁ~?」
「はぁ……うっとうしいので辞めていただけませんか?」
俺はその男の手を振り払った。男は手が振り払われたことに対して顔をしかめたが、その直後に俺の後ろにいるリリーの姿を見て満面の笑みをした。
「にいちゃ~ん、凄い美人さん連れてるじゃないかぁ~。 なぁ、一晩俺に貸してくれよぉ~」
そういいながらリリーの胸に向けて、手を伸ばしてきた。俺はそれを見た瞬間、反射的に男の腕をつかんでいた。
「辞めて、いただけませんか?」
此方としてもできるだけ争いごとは避けたいため、笑顔で接しているものの、内面は全く穏やかじゃない。
「いいじゃないかぁ~だって、獣人じゃないかぁ~」
その発言が俺を完全に怒らせた。俺は彼がその発言をした瞬間、彼の腕を抑えたままその場に転ばせて、馬乗りの体制になり、その首の横に即座に雪月花を突き立てた。あまりに一瞬のことで、周りの冒険者たちは何が起きたかわかっていないようで、辺りはシーンとした。
「どうやら酔いが醒めて無いようですね。 これで……酔いは醒めましたか?」
「は、はい……」
「そうですか。 それと、私の婚約者に対して失礼な発言や行動は控えてくださいね? さもないと……お分かりですね?」
俺はそう発するとともに、俺が馬乗りをしている冒険者にだけ一瞬強烈な殺気を放った。彼は顔を青白くさせながら何度も頷いた。それを見た俺は彼の上からどいて、服に着いた埃を軽く叩き落としてからリリーの元に戻った。
「待たせたね。 じゃあ用事を済ませようか」
「はい、分かりました」
「受付は……たぶんあそこかな?」
俺達は受付と思われつ場所に向かっていった。俺たちが去った後は、静寂と男が転ばされた時の股のあたりに熱を持った液体のみが残されていた……らしい。