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おまけ:その後のメアとファナ

おまけの第二弾

メア視点となります。

 私は何度も似たような夢を見る。それも【跳ね返りの神殿】から帰っててきてからずっとだ。


「君たちのせいだよ。君たちのせいで僕は……僕は……ねぇ、なんで助けてくれなかったんだ? なぁ、メア? 僕たちは幼馴染だよね……なんで僕を置いていったんだい……」

「違う! 私は……」

「違う? 何が? 結果的には僕を置いて行ったじゃないか。メア、君は彼らに抵抗する力もあったのになぜ? なぜ逆らわなかった?」

「そんな力……私になんて……」

「力じゃなく君には勇気が足りなかったんだよ」


 と、夢だと理解していてもミラトの蔑むような眼は深く私の心に突き刺さる。何度目の夢かわからないがミラトの冷たい目はとても辛い。でももうミラトはいない。ミラトに会えるのは夢の中だけ。二つの感情が胸の中でぐるぐると渦巻く。


「サヨナラだ。メア。もう君と会うこともないだろう」

 と、夢の中のミラトは私からどんどんと遠ざかっていく。私は追いかけようにも、黒い手のようなものに足をつかまれて動けない。それも一本二本ではなく、数えるのですら億劫になるほどだ。


「待って! お願いミラト!」

 私は動けず、ただ叫ぶことしかできない。


「ねぇお願い! 待って! まあぁぁってえぇぇぇえ!!」

 私の声は虚しく響くだけだった……











「……はぁ、はぁ、また……あの夢……」

 夢から覚めた私は上半身だけ起き上がり、近くにあった水差しから水を容器に映し、飲んだ。

 いい具合に冷えた水が私の目を覚ます。


「もう私……冒険者辞めようかな……」

 と考えてしまう。


 そもそも私が冒険者になったのはミラトについていっただけであり、冒険者に固執する理由もない。


「はぁ……あの時私に少しだけ勇気があればな……」

 と、そんなようなことを考えていると一日は終わり、様子を見にファナが来る。そしてまたあの夢を見る。そんな日がもう五日も続いている。そして今日もまたそんな風に一日をつぶしていく。そう思っていた。


「ファナ……今日は遅いな……」

 いつもならもうファナは来ている時間だ。窓の外を見てみると夕日がもう沈みかけている。


「何かあったのかなぁ……」

 私はファナが帰ってくるのを待った。


 日が沈み……夜が明けた明け方ごろにファナは帰ってきた。私はファナに水を差しだした。

「遅かった……ね」

「ありがとう~。んくっ、んくっ。実はちょっと、メアちゃんに話さなければいけないことがあるんです~」

「ん? 何?」


 するとファナは、「コホン」と、一つすると、真剣なまなざしになった。私はその目を見てただ事ではないと判断した。


 ファナは基本おっとりしているが大事な会議や重要なことがあるといつものようなおどけた口調がなくなり、身に纏う雰囲気も、ガラリと変わるのだ。


「実はね……今日ネロ達が捕まったのよ」

「なんで?」

「その、驚かないでね? ミラトが、生きてたの」


 パリン……


 私はその時持っていた水差しをおとしてしまった。


「う、嘘?!」

「ほんとよ……そしてミラトは『鏡魔術師になった。』と、言ってたわ」

「う、嘘……生きていたんだ。よかった……」

「そしてミラトは私に『メアを頼む。』って。その時のミラトはとても優しい笑みを浮かべていたわ。」

「そっか……」


 よかった……生きてた……そう考えると目から涙が止まらなくなった。

「それで……ミラトはどこにいるの?」


 会いたい。あって「ごめん」と伝えたい。


「ミラトはもう旅に出ていったわ。確かネイシスに向かっていくとか……」

「そっか……」


 また会えなかった。私はいいところで何もできないのかな……そう思うと、別の意味で涙があふれてきた。

「それで……私からの提案になるんだけど……メアちゃん。私と一緒にネイシスに行かない?」

「え……?」

「私も会ってもう一度、「ごめん」って、言いたいの。どれだけ拒絶されようともね。だから一緒に行きましょ?」

「うん……うん!」


 そうして私とファナはネイシスに向かって新たに旅立つのだった。もう一度ミラトに会うために!


次から第二章が始まります!

今後もメアの旅路はおまけとして書いていく予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「そして私はミラトに『メアを頼む。』ってとても優しい笑みを浮かべていたわ。」 ここ文章がおかしいです。 ミラトが「ミラを頼む」って優しい笑みを浮かべて私に頼んできた的な事のはずです…
[良い点] テンポがすごく良くておもしろいです!最新話に追いつきました!! 第二章もがんばってくださいね(^^)/
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