おまけ:メアとファナの旅6
あの後も襲撃があったようで負傷者が運ばれてきている。ファナはその負傷者の重傷者順に回復して言っている。だがそれに比例するように顔色が少しづつ優れなくなり、時々だがふらつく様子が見られる。
「ファナ……平気?」
「え、えぇ……へ、平気……よ」
「嘘……ふらついてる」
はたから見ても分かるほど疲れているのが分かる。そう思った直後、ファナはふらついてその場に座り込んでしまった。私は肩を貸しながら、ファナに改めて話しかけた。
「一旦、休憩しよう……ファナが持たない……」
「でも、私が頑張らないと……何のための階級Sなのよ……」
「ファナ……」
そういいながらファナが立ち上がって負傷者に近寄っていった。その様子を私はただ眺めているしかできなかった。
二度目の戦闘の音が鳴りやみ、その際に負傷した冒険者が運ばれてきた。私は数人の冒険者と共に護衛と並行して、軽いけがをした人たちの手当てをしている。今私は、軽いけがをした青年の冒険者に包帯を巻きながら、話を聞いた。
「あなたに聞きたいんだけど……」
「いてて……お、いいぜ何が聞きたい?」
「さっき、二度目の襲撃があったぽいけど……どうなったの?」
「ん? あぁそのことか」
包帯を巻き終えた彼は腕を動かしたりして、違和感がないかどうか確かめながら答えてくれた。
「強力な助っ人が来てくれたんだよ」
「助っ人……?」
「あぁ、その人たちがそろそろ兵隊蟻たちの巣に攻めこむらしいんだ」
「その助っ人……」
「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」」」」」」」」」」
名前を聞こうとしたその時、大歓声が響き渡り、私の声はかき消されてしまった。
「お、ちょうど今から行くみたいだな……それで、何か聞いてこなかったか?」
「あ……その、助っ人の名前って……」
「あ~なんだそんなことか」
私は興味本位で聞いたが、その青年から出てきた言葉は、私に大きな衝撃を与えた。
「第一王子のシンファルラ殿下と、鏡魔術師のミラトさんと、その連れの獣人の三人だな」
「ミ、ミラト……?」
「ん? どうかしたのか?」
「い、今ミラトっていった?!」
「あ、あぁそうだが、なんか用があるのか?」
「い、いや……何でもない……気にしないで」
「? そうかじゃあ俺はさっきのところ戻るから」
そう言って青年は走り出した。私は青年がいなくなったのを確認するとその場でブツブツとつぶやきだした。
「ミラトが……近くにいた……すぐそばに……ミラトが……」
この時、私はあろうことか、負傷者の手当てをしているファナの護衛なんかしてなければミラトに会えたのに、という思いで脳が埋め尽くされていた。
時間軸は大体、ミラトたちが巣に乗り込むぐらいです