おまけ:メアとファナの旅5
戦闘開始から数十分が経った。その後、駆けつけた騎士団と共になんとか兵隊蟻を倒すことに成功した。しかし、急な襲撃によって近隣の住民含め、冒険者たちにも負傷者が出てしまった。
「メア、大丈夫だった?!」
「ファナ……」
負傷者のところにいたファナが駆けつけてきた。顔色が少し白くなっている気がする。
「こっちは平気……そっちはどう……?」
「まだまだ負傷者は多いけど、なんとか死者は出てないわ」
「そう……なら良かった……」
「それで、お願いなんだけど……」
「ん、何……」
「また何かあったら困るから、その、負傷者を手当している間、そばにいてもらえるかしら?」
「ん、いいよ……」
「ありがとう、助かるわ!」
「困ったときは、お互い様……」
私はファナの後についていき、負傷者の集まるエリアに向かった。
「ここよ。 じゃあメアはここで待ってて」
「ん……」
ファナに連れられて来たところは大怪我をしている人はそんなに多くないものの、それでも見渡す限り負傷者と、その負傷者の治療のためにせわしなく動いている回復魔術師の姿が見られる。
「なんとかなった……」
私はほっと胸を撫で下ろした。別に最高の結果では無かったが、最悪の結果にならずに本当に良かったと心からそう思う。私がそんな事を思いながら立っていると、頭に包帯を巻いた男の子と腕に包帯を巻いた女の子が近寄ってきた。
「なぁお姉ちゃん!」
「私……?」
「うん!」
「……どうしたの?」
「あのさあのさ! さっきいきなり地面から魔物が出てきて、俺たちびっくりしちゃって動けなかったんだ! そんなときお姉ちゃんが現れて颯爽と魔物を倒してるのみてね、すごいかっこいいと思ったんだ!!」
「そ、そう……」
「だからね、お姉ちゃんにお礼を言いたかったんだ!」
「お礼……?」
「うん! 助けてくれてありがとう!」
「あ、ありがとう」
「……あ、えっと、どういたしまして……?」
「じゃあ俺たちお母さんのところに戻るから!」
「ばいばい、お姉ちゃん」
「ば、ばいばい……」
「気をつけてね!」
「う、うん……」
そして男の子と女の子は離れていった。私は少しの間、何があったかよくわからずその場にただただ立ち尽くすのみだった。
「メア、どうしたの?」
「あ、ファナ……」
私が立ち尽くしていると、一段落したのかファナが私に近づいてきた。
「なんか、お礼を言われた……」
「お礼? 誰に?」
「名前は、分からない……けど、兄弟みたいな男の子と女の子だった……」
「そう、良かったわね」
「…………うん」
「さて、まだまだ負傷者はいるし、おそらくまだ増えるからメア、護衛を頼むわね」
「ん、任せて……」
そしてファナは負傷者のいる方へ駆け寄っていった。